なぞとき名人のお姫さま/フランスの昔話/山口智子:編・訳/福音館書店/1995年初版
長いタイトルですが「ブレーメンの音楽隊」と似ています。
かぜをひいて聖ゲルリュションさまにおいのりにいこうとねこが途中であったのは、おんどり、がちょうのおばさん、やぎのおばさん、ひつじ、やましぎ。みんなかぜでした。
しっかり、おまいりをして家路につき、日が暮れてみつけたのが、小さな家。おおかみの家でしたが留守でした。
炉のそばにジャガイモをみつけ、皮つきのまま大鍋でにて、おなかがいっぱいになったみんなは、それぞれすきなところで、寝ることに。
どこにねむったのかは、おおかみの証言が。
「じゃがいもをくおうとしたら、のこっていたのは皮だけ。わらの切れっぱしに火をつけようとしたら料理女がフォークで鼻先をに二へんもひっかき(ねこがひっかいたのです)、おまけに炉に左官がおって目に何やらべたっとしたものをおとした(おんどりが糞をおとしたのです)。ベッドへ寝にいきゃ、洗濯女が布うちべらでひっぱたくわ(ベッドにはがちょうがいてひっぱたたいたのです)、テーブルのほうへいきゃ、木こりが大槌でぶんなぐるわ(羊が頭でぶつかったのです)、干し草かき女が熊手でつくわ(やぎが角でついたのです)、流しのほうへ行きゃ、くつ屋が錐の先で突っつくわ(やまぎしがながい嘴でおしりをつついたのです)、戸の方へ行きゃ、なんと鍛冶屋がおって、尻をもぎとるときたもんだ。わしは家から飛んで逃げてきた。もうあそこには二度ともどるもんか。」
暗闇でしたから、勘違いするのもわかりますが、ここまでくると、なんともいいようがありません。しかし動物の特徴がよくあらわれています。
夜明け、すっかり元気になった動物たちは家をでていきます。