どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ハマグリにつかまった男の子・・フィジー

2019年10月04日 | 昔話(オセアニア)

        世界むかし話/太平洋諸島/光吉夏弥・訳/ほるぷ出版/1979年

 

 島の全部のニワトリの監督をまかされていたタウタバヤオーという男のが、潮のひけどきに、サンゴ礁に、ニワトリがすきそうな虫やエサをみつけ、ニワトリたちに食べさせます。

 潮の向きが変わって水がおしよせ、ニワトリをかえそうとしたとき、ハマグリを踏みつけて、足がはさまれてしまいます。

 タウタバヤオーは、足をぬこうとしますが、なかなかぬけません。さいわいなことに水はニワトリのところまではまだきていません。

 ハマグリは、ニワトリたちに、食べるものをぬすまれて怒っていました。そのうち潮はだんだんと高くなってきました。

 タウタバヤオーは、まずニワトリを陸にかえし、ハマグリに「ぼくはハマグリのとりこになったと思っていたんだが、どうもそうじゃないらしい。ハマグリが貝がらの中に真珠を持っているなんて聞いたことがないものな」といいます。

 おどろいたハマグリが、なぜときくと、タウタバヤオーは「足の先にまるいかたい珠があるからさ」とこたえます。

 ハマグリが真珠がないことをみせようと、ぱっくと口を開くと、タウタバヤオーは、いそいで足をひきぬいて、浜へむかって泳いでいきます。

 知恵でなんとかおぼれずにすんだタウタバヤオーでした。

 これもほかの国ではみられない昔話でしょうか。

 浜へ向かっておよいでいたタウタバヤオーに、ニワトリたちが「タ・ウ・タ・バ・ヤ・オー!」タ・ウ・タ・バ・ヤ・オー!」と、鳴きます。それからニワトリたちは、潮がたかくなってきたとき、こう鳴くといいます。

 フィジー共和国は、イギリス連邦加盟国で、300余の火山島とサンゴ礁があります。