どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

やまのかいしゃ

2019年10月31日 | 絵本(日本)

    やまのかいしゃ/スズキコージ・作 かたやまけん・絵/福音館書店/2018年

 

 ほげたさんは、朝起きるのがとても苦手。奥さんが布団をめくっても、ぐうすうぴい。

 今日も会社に出かけていくのが昼過ぎになってしまいました。

 駅までの道をペタペタあるきながら、歯を磨き、顔を洋服のそででみがいて、すぐきた電車にとびのります。

 すいた電車の中で、奥さんが作ってくれたおむすびを食べようとすると、トイレのスリッパはいていたことに気がつきます。おまけにおむすびのなかから腕時計がでてきて。

 ほげたさんもほげたさんなら、奥さんもそそっかしい。

 ほげたさんの会社はビルがぎっしりつまった町の中にあるのに、電車がむかったさきは、山。

 やまの素晴らしい景色を見ようにもメガネを忘れがっかりのほげたさん。

 電車の終着駅は、“やまのあなた駅”。
 ほげたさんは、こうなったら、今日は、山の会社へ行こうと思い、駅員さんにおねがいしてスリッパを長靴にかえ、山の道をのぼっていきます。

 つりばしをわたって、むこうからくる人をみると、同じ会社のほいさくん。ほいくさん、こんなやまのなかから会社にかよっていたんでしょうか。会社につくのは、どうみても夕方。それとも夜勤だったのかな。

 ふたりで山をのぼって、頂上へ。

 やまのかいしゃと思い込んだ二人は、仕事をはじめます。(何もなさそうです)

 空気のおいしい山の頂上で、仕事をしようと会社の社長に電話すると、社長はみんなをつれて山の会社にやってきます。

 やまでは、動物たちも総出でおむかえ。

 会社の面々は、寝転んで仕事をしたり、酒盛りしたり、バイオリン伴奏で歌をうたったり、社長は自転車遊びと楽しそう。

 でも、山の会社がぜんぜんもうからないので、社長はみんなをつれて町にかえっていきます。

 のこったのはほげたさんとほいさくくんでした。

 子どもには、なに?といわれそうですが、会社に遅刻できないし、都会のゴミゴミした雑踏ですごさなければならない大人には、ユートピアの山の会社でしょう。あくせく働く大人へのメッセージなのかも。

 山の頂上の場面、動物たちが楽しそうで人もいきいきとしています。

 他の方の受け売りですが、絵本の主人公の名前は、「エンソくんきしゃにのる」の駅名だそうです。

 やまのかいしゃ = エンソくんきしゃにのる
  ほげたさん = ほげた駅
  ほいさくん = ほいさ駅

 頭をかしげたのが、この絵本は、1991年に架空社から発行されているということ。きいたことのない出版社でした。