どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

カキ売りとトウガラシ売り・・群馬

2021年08月18日 | 昔話(関東)

          群馬のむかし話/群馬昔ばなし研究会・編/日本標準/1977年

 

 旅商いをするカキ売りとトウガラシ売りが都で商いをしたが、正月も近いのに、いっこうに売れない。

 山道の途中で夜になり、寒さがひとしお身にしみる。焚火でほっとした気持ちになると、ふたりは急にはらがひっていることに気がつく。べんとうをたべようと腰に手をやると、べんとうはなくなっていた。

 カキ売りは荷のなかからカキをだして、ひとりでもぐもぐ食べはじめます。これをみたトウガラシ売りが、カキをわけてくれるよう頼んでも、今日は売れなかったが、あしたになればまた売れるからと、お金を出せといいます。トウガラシ売りが、自分があんまりみじめになるからと、くやしまぎれにトウガラシを食べたが、これがからくてからくてしかたがない。ところがひとつ、またひとつと口にすると、からだから、ぽっぽ、ぽっぽと汗がふきだして、いーいのでしょうか気持ちに。

 カキ売りがねぼけ声でもっと火を焚いてくれと頼んでも、トウガラシ売りの方は、からだじゅうが、ぽっぽ、ぽっぽと燃えているようにあったかい。そのうちうとうと眠ってしまう。

 ところが、まっくろな空から雪が降ってきて、あたりは一面銀世界。

 よく朝、村の人が二人を見つけます。一人の男は凍って死んでおり、もう一人は雪の中で汗をかいてねており、まわりの雪がとけていたという。

 

 何が分かれ道になるかわかりません。困ったときはお互いさまです。