ドームがたり/アーサー・ビナード・作 スズキコージ・絵/玉川大学出版部/2017年
「原爆ドーム」の誕生は1915年。チェコのヤン・レツルの設計です。
広島県物産陳列館というのが正式名称。生まれてから20年くらいのころから世の中は戦争一色。
写真や映像でなじみのふかいドームも、設計者が外国の若い方というのをはじめてしりました。
スズキコージさんのダイナミックで迫力のある絵が原爆のすさまじさをあらわしています。
丁寧にたてられた建物は、頭がとけてスカスカの骨だけになりますが、壊れることなく当時の惨状をつたえる象徴的なものになりました。
そのご水爆実験の被害を受けた漁船がありながら、原子力発電所の建設を進めた日本。そのつけは2011年の福島東電発電所の爆発につながります。
ドームが「生き物が そばにいるとうれしい」というのは、未来への伝言です。
原爆が落とされて一か月半ほどたった枕崎台風の影響で放射性物質が海に流されたこと、1948年に建てられた広島市高等女学校原爆慰霊碑には、当時の制約から原爆というの表現が一切なく、そのかわりにE=mc2という化学式が記されているのも はじめて知りました。