どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

えんま様も苦労が絶えない‥富山

2021年08月13日 | 昔話(北信越)

          富山のむかし話/富山県児童文学研究会編/日本標準/1978年

 

・鬼をおがんだおばあさん

 仏さまをおがまずに、鬼ばかっりおがんでいたふうがわりなおばあさん。

 寿命には勝てず、閻魔様の前でお裁きを受け、かまゆでにされることに。鬼たちが、おばあさんがさんざんおがんでくれたので、一番ぬるい釜に入れると、ちょうどよい湯加減。

 閻魔様が、かまゆでがだめなら針山地獄へ追いやれと、でっかい声でさけぶと、こんども鬼たちが、こっそりおばあさんのまえの針をぬいてやったので、おばあさんは、ちっとも血を流さずに山のてっぺんまで登ります。おばあさんが「ああ、いいながめだ。こんな見晴らしのいいところに、いつまでも住んでいたい」といったので、閻魔様もたまげてしまって「お前は、地獄にふさわしくないばばあだ。鬼ども、極楽へまわしてやれ。」と、いったとさ。

・えんま様になった八左

 蓑谷の八左という祭文がたり(山伏のようにしゃく杖をつき、ほら貝をふき流しながら、世の中のできごとを歌うように話して歩いた人)が、閻魔様の前で祭文がたりを商売にしていたとこたえると、閻魔様は聞かせてみろといいます。

 八左は「お願いとあらば語りもうそう。でも閻魔様、祭文は高座から語るもの。もし、下座から語ればばちがあたる。」というと、祭文語りを聞きたくてたまらない閻魔様は、八左に高座をゆずります。

 高座に座った祭文がたりは、鬼たちに命令して閻魔様を地獄の底においやります。

 八左が閻魔様になると、自分の在所の蓑谷のもんが地獄に落ちてくると、恩返しのために極楽へおくっていると。