鹿児島のむかし話/鹿児島のむかし話研究会編/日本標準/1975年
・村一番の茶のみばば
島津の殿さまから、屋敷のまわりに木を植えようと思うが、何がいいか聞かれたとんちのきく侏儒どん。垣根になるばかりか茶もとれる、茶がいいだろうとこたえます。
つね日ごろ、侏儒どんのとんちでやっつけられている殿さまは、さっそく茶の実を持ってくるよういいつけます。
季節外れで茶の実がないのに気づいた負けず嫌いな侏儒どん。近所のばあさんのところへでかけ、ばあさんといっしょに殿さまのところへでかけます。そして茶のみをさっそくもってきたと殿さまに言上。だしてみよといわれ、「ここに」とこたえた侏儒どん。
殿さまは、ばあさんをみて、怪訝な顔をしますが「このばばは、村一番の茶のみばばでございます。朝から夜まで、お茶がなければ、日が暮れませぬ。日当山一番の茶のみでございます」と答えた侏儒どん。
殿さまも一本とられました。
「茶の実」と「茶飲み」にかけたとんちですが、ほかの同音異義でも通用する話。