ねぼすけスーザとあかいトマト/広野多珂子/福音館書店/1995年初出
いつもなかなかめをさまさないスーザが、今日は、ちょっと ちがっていました。今日は、マリアおばさんが作った ことし はじめてのトマトを、市場に運ぶ日なのです。
ろばのサンチェスと、ホルヒおじさんのところへトマトをはこび、そのあいだに お買い物も。
買い物から帰ってみると、ホルヒおじさんの店には、お客さんが一人もいません。市場の いちばんすみっこにあって、目立たないのです。
マリアおばさんが うんと はやくおきて 草を取ったり、悪い虫をとったりして大事に作ったトマト。なんとかトマトを買ってもらおうと、スーザは トマトを入れた むぎわらぼうし を片手で持つと、もう一方の手で ぱちんと ゆびをならして マリアおばさんが はるまつりのときに おどるように あしぶみしながら くるりくるりと まわりはじめました。
マリアおばさんが大切に育てたトマトを、どうにか売りたいというスーザの気持ちがつたわってきました。
俯瞰した市場の活気のある様子、ごったがえす人たちがひとりひとり丁寧に描かれています。
スーザが、ホルへおじさんからもらったトマトをかじりながら、ろばのサンチェスといっしょに ひまわり畑を通っていく様子には満足感がいっぱい。
女の子の名前がスーザで、どこの国がモデルかきになりました。シリーズになっていますが、はじめての一冊でした。