どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ねぼすけスーザとあかいトマト

2021年09月14日 | 絵本(日本)

     ねぼすけスーザとあかいトマト/広野多珂子/福音館書店/1995年初出

 

 いつもなかなかめをさまさないスーザが、今日は、ちょっと ちがっていました。今日は、マリアおばさんが作った ことし はじめてのトマトを、市場に運ぶ日なのです。

 ろばのサンチェスと、ホルヒおじさんのところへトマトをはこび、そのあいだに お買い物も。

 買い物から帰ってみると、ホルヒおじさんの店には、お客さんが一人もいません。市場の いちばんすみっこにあって、目立たないのです。

 マリアおばさんが うんと はやくおきて 草を取ったり、悪い虫をとったりして大事に作ったトマト。なんとかトマトを買ってもらおうと、スーザは トマトを入れた むぎわらぼうし を片手で持つと、もう一方の手で ぱちんと ゆびをならして マリアおばさんが はるまつりのときに おどるように あしぶみしながら くるりくるりと まわりはじめました。 

 マリアおばさんが大切に育てたトマトを、どうにか売りたいというスーザの気持ちがつたわってきました。


 俯瞰した市場の活気のある様子、ごったがえす人たちがひとりひとり丁寧に描かれています。
 スーザが、ホルへおじさんからもらったトマトをかじりながら、ろばのサンチェスといっしょに ひまわり畑を通っていく様子には満足感がいっぱい。

 

 女の子の名前がスーザで、どこの国がモデルかきになりました。シリーズになっていますが、はじめての一冊でした。