
だいすきなマロニエの木/オーサ・メンデル・ハートヴィック・文 アネ・グスタフソン・絵 ひだに れいこ・訳/光村教育図書/2015年
女の子が「わたしの木」とよぶ、マロニエの木。春、夏、秋、どの季節も おうちのよう。
ところが、春がきても ねむったまま。
大家さんがきて、木は死んでいて、たおれてアパートが こわれたら大変と、木はきられることに。
ただねむっているだけだからと、きられないように木の上にいることにした女の子。
パジャマに毛布、懐中電灯、まくら そしてお菓子、本も準備して、木へ登るとすると、木が女の子に話しかけてきます。
「わたしは いきている。それに けっして しなないんだよ」
「あの子たちが そだつ すべての ばしょで わたしも いきつづけるんだよ」
朝おきたら、ベッドの上。クローゼットから 去年の秋に きていたコートをだしてみるとポケットに 五つ実が。植木鉢に 実を植えると、やがて 小さな みどりの芽が。
真夜中、女の子が眠るマロニエの木に点々と しろいあかり。幻想的で木の語りの続きをきいているよう。百年以上もたったマロニエは いろいろなものを見続けてきたのに違いありません。