どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

だいすきなマロニエの木

2021年09月10日 | 絵本(外国)
     だいすきなマロニエの木/オーサ・メンデル・ハートヴィック・文 アネ・グスタフソン・絵 ひだに れいこ・訳/光村教育図書/2015年
 
 
 女の子が「わたしの木」とよぶ、マロニエの木。春、夏、秋、どの季節も おうちのよう。
 
 ところが、春がきても ねむったまま。
 
 大家さんがきて、木は死んでいて、たおれてアパートが こわれたら大変と、木はきられることに。
 
 ただねむっているだけだからと、きられないように木の上にいることにした女の子。
 
 パジャマに毛布、懐中電灯、まくら そしてお菓子、本も準備して、木へ登るとすると、木が女の子に話しかけてきます。
 「わたしは いきている。それに けっして しなないんだよ」
 「あの子たちが そだつ すべての ばしょで わたしも いきつづけるんだよ」
 
 朝おきたら、ベッドの上。クローゼットから 去年の秋に きていたコートをだしてみるとポケットに 五つ実が。植木鉢に 実を植えると、やがて 小さな みどりの芽が。
 
 真夜中、女の子が眠るマロニエの木に点々と しろいあかり。幻想的で木の語りの続きをきいているよう。百年以上もたったマロニエは いろいろなものを見続けてきたのに違いありません。