おかあさん だいすき/マージョリー・フラック・作 光吉夏弥:訳・編/岩波の子どもの本/1954年
1954年に出版された息の長い絵本。「おかあさんのたんじょうび」と「おかあさんのあんでくれたぼうし」の二話。
「おかあさんのたんじょうび」は創作で、「おかあさんのあんでくれたぼうし」は、スエーデンのお話とあるので、昔話からとられたものでしょうか。ただ「たんじょうび」の方が、昔話のリズムです。
・おかあさんのたんじょうび
ダニーという男の子が おかあさんのたんじょうびの おいわいに あげるものを さがしに でかけました。
めんどりからは、たまごを がちょうからは 羽を やぎからは ちちを ひつじからは毛を めうしからはちちを あげるといわれますが、あるものばかり。
くまにきこうとする いっしょにいたみんなは 「わたしは ごめん!」というので ダニーはひとりで くまのところへ
くまは あげるものはないけど いいことをおしえてあげようと そっと 内緒で教えてくれます。くまからいいことをきいたダニーは家に帰って・・・。
ダニーのプレゼントは、とっても素敵でした。
動物たちと「ぴょん ぴょん」「ぴょんぴょこ ぴょんぴょこ」「とっとこ とっとこ」と走っていく様子と、動物たちから、「○○をあげましょう」と言われるたびに、「どうもありがとう」と断る繰り返しがつづくのは、昔話のリズムです。
・おかあさんのあんでくれたぼうし
アンデルスは おかあさんがあんでくれたぼうしを とてもきにいっていました。
ぼうしをかぶって 散歩にでかけると にいさんのともだち おひめさま、王さまから とりかえっこ しようと いわれますが 全部断って おかあさんのもとへ。
おひめさま、王さまもででてきますから、これも昔話の世界です。
おかさんの手作りのぼうしは どんなものにも代えがたいとストレートにつたわってきます。
読み聞かせなら、押しつけがましいところがあるので、母親以外のほうがいいかも。
いまはすべてお金の時代。ただ母親の愛情は、お金に換算できるものではありません。