どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

そんなこともしらないの?

2024年01月13日 | 絵本(外国)

   そんなこともしらないの?/パク・ジョンソブ・作 なかやま よしゆき・訳/フレーベル館/2023年

 

 はらぺこアンコが、おなかをいっぱいにしようと まず目をつけたのが赤いサカナ。

 「おーい あかいサカナが かぜをひいてるってさ~」「かぜをひくと ねつがどんどん あがるだろ? だから まっか なんだ! そんなことも しらないの~?」と大声。

 赤いサカナは、「なんでさわいでいるの?」「サカナが かぜひくわけないよね」と思いますが、ほかのサカナが「うつったりしたらたいへん」「かぞくがしんぱい」「とっととおいだせ」と、赤いサカナを群れからおいだしてしまいます。

 アンコウは、追い出された赤いサカナを ペロリと呑み込んでしまいます。

 つぎの目標は、黄色いサカナ。「おーい きいろいサカナも かぜを ひいてるってさ~。 あ~あ うつっちゃったんだ~。」「かぜをひくと きいろい はなみずが でるよね? だから あいつら きいろいんだ! そんなことも しらないの~?」。こんどは黄色いサカナが群れから追い出され、アンコウのおなかのなかへ。そして、おなじ手口で、青いサカナもアンコウのおなかの中へ。

 残ったサカナは喧々囂々。残ったサカナも がぶっ! と呑み込んだアンコウでしたが、クラゲにこちょこちょされ、ハックションと、くしゃみをすると 呑み込んだサカナが、みんなアンコウのおなかのなかから飛び出し、サカナたちの逆襲が・・・。

 

 アンコウの話をどううけとめるか サカナたちの会話が展開します。

 アンコウがフェイクニュースで サカナたちを、疑心暗鬼にさせ、仲間を分断し、自分に都合のいいように誘導していきます。はじめは 嘘と思っても 誘導されていく恐ろしさ。

 それが本当なのか、まちがった情報なのかを 見極める力が必要になりますが、情報に接したとき、自分に都合のいい情報だけを選択しては真偽のほどは、わかりません。

 

 ところで、作者に騙されていないか、調べてみると、確かにアンコウは、肉食性でほかの魚を丸呑みにして捕食するという。ただ魚は条件によっては、風邪をひくことがあるというから ややこしい。