おんどりと二まいのきんか/安藤美紀夫・訳 堀尾青史・脚本 画・うすいしゅん/童心社/1993年
むかし、貧乏なじいさんが、とてもおおぐいの おんどりと 暮らしていました。
「もっとおくれ。これっぽちじゃ いやだよ!」と、おんどりがいいますが、貧乏なおじいさんのところには、もう食べるものはありませんでした。
そこで、えさをさがしにいったおんどりは ピカピカひかる金貨と小さな袋をみつけました。おんどりは、長い間、養ってくれたおじいさんに、金貨を持ち帰ろうとしましたが、そこへやってきた村一番の大金持ちの地主に横取りされてしまいます。おまけに池のなかに、放りこまれてしまいました。
おおぐいのおんどりは、「こんな いけで 溺れるもんか。水を みんな のんでやる」と、池の水をガボガボ飲むと、金貨を返せと、地主のところにのりこみます。
地主は、おんどりを暖炉に放り込んで、焼き鳥にしようとしますが、おんどりは、がっぽりのんだ水を噴水のようにふきだし、暖炉の火を 消してしまいます。
水を吐き出し、おなかがぺこぺこになったおんどりは、台所の食料を かたっぱしから 食べてしまいます。怒った地主が、蔵へ放り込むと そこには、金貨が山のように しまってありました。
おんどりは、金貨を全部飲み干すと、蔵を飛び出し、おじいさんのところへ かけだしました。
畑で働いていたおじいさんは、金貨の山をみて おおよろこび。
ルーマニアの民話ですが、おんどりの顔が赤、首は黄色、胴は青、尻尾が緑とカラフル。おじいさん、地主の存在感も抜群です。子どもはどこの国の話であるかか気にしませんが、大人は どこの国の話か興味があるところ。
おんどりのセリフ。「こんなに金貨があるくせに、ぼくの二まいの金貨まで とりあげるんだから、よくばりだなあ」。ここまでしないと金持ちにはなれません。
食べるだけ大きくなるおんどりの存在感がたっぷりです。