どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

わたしたちだけのときは

2019年01月05日 | 絵本(社会)


   わたしたちだけのときは/文:デイヴィッド・アレキサンダー・ロバートソン・文 ジュリー・フレット・絵 横山 和江・訳/岩波書店/2018年


 カナダの先住民族同化政策へのいじらしい抵抗の物語です。

 庭で花の手入れをするおばあちゃんを手伝いながら、少女はあれこれたずねます。
 おばあちゃんは、たんたんと少女の質問に答えていきます。

 おばあちゃんは子どもの頃、親元から引き離され,強制的に、家から遠くはなれた寄宿学校にいれられました。
 寄宿学校では制服を着ることを強制され、長く伸ばした髪を切られ,自分の言葉で話すことを禁じられたのです。当たり前のことが当り前にできなくなったのです。

 でも、子どもは?

 秋になると寂しい色の服に黄色や赤のきれいな葉っぱをつけます。
 春に野原の草が伸びると、髪の毛に編み込みます。
 夏、先生がそばにいないとき、クリー語ををこっそりしゃべって、わすれないようにします。
 冬、わたしたちだけのときは、だれにもきづかれないようにして、こっそり あっていました。手と手をつなぐと、家族のつながりを しっかりかんじることができました。

 ささやかですが、そのことがアイデンティティをまもることにつながっていました。

 自分たちが一番と考え、自分たちの文化、習慣をおしつけるのは、ついこの前まで(今も?)行われていたことを思い出しました。

 人のために国家があるはずなのに、国のために人がいるという発想はすべてを、見えにくくします。


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