わたしたちだけのときは/文:デイヴィッド・アレキサンダー・ロバートソン・文 ジュリー・フレット・絵 横山 和江・訳/岩波書店/2018年
カナダの先住民族同化政策へのいじらしい抵抗の物語です。
庭で花の手入れをするおばあちゃんを手伝いながら、少女はあれこれたずねます。
おばあちゃんは、たんたんと少女の質問に答えていきます。
おばあちゃんは子どもの頃、親元から引き離され,強制的に、家から遠くはなれた寄宿学校にいれられました。
寄宿学校では制服を着ることを強制され、長く伸ばした髪を切られ,自分の言葉で話すことを禁じられたのです。当たり前のことが当り前にできなくなったのです。
でも、子どもは?
秋になると寂しい色の服に黄色や赤のきれいな葉っぱをつけます。
春に野原の草が伸びると、髪の毛に編み込みます。
夏、先生がそばにいないとき、クリー語ををこっそりしゃべって、わすれないようにします。
冬、わたしたちだけのときは、だれにもきづかれないようにして、こっそり あっていました。手と手をつなぐと、家族のつながりを しっかりかんじることができました。
ささやかですが、そのことがアイデンティティをまもることにつながっていました。
自分たちが一番と考え、自分たちの文化、習慣をおしつけるのは、ついこの前まで(今も?)行われていたことを思い出しました。
人のために国家があるはずなのに、国のために人がいるという発想はすべてを、見えにくくします。
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