子どもに聞かせる世界の民話/矢崎源九郎・編/実業之日本社/1964年
あまり聞きなれないエールの昔話とありました。アイルランド共和国のことで、「エール」というのはアイルランド語読みとありました。
多くの外国の昔話が紹介されて、あらためて地図を確認すると、おもわぬ地理の勉強にもなります。
若いころは狩りをするのがだいすきだったアイルランドのオー・ツール王も、歳をとって杖がなくては歩くのも困難になっていました。
王さまは気分をかえるためガチョウを飼うことにしました。ガチョウはそこらを飛び回っても、王さまがよべば、すぐにもどってきました。王さまのあとを、よちよち歩いたり、湖の中を泳ぎ回って、よくふとったマスをくわえてきては、王さまにわたしたりもしました。
ところが、このガチョウも歳を取ると翼も足も弱って、王さまはガチョウと遊ぶこともできなくなってしまいます。
何の楽しみもなくなった王さまが、涙をながしていると、目の前に立派な若者がたっていました。
若者は王さまの名前も、ガチョウのことも知っていました。若者は「古いものを新しくすること」が仕事だといいます。そしてガチョウをわかがえらせてあげましょうかと、王さまにもちかけます。
よろこんだ王さまが、口笛をふくと、ガチョウがよちよちとでてきます。
若者は、ガチョウをわかがえらせたら、なにをくださいますかと王さまに問います。
「きみののぞむものをあげよう」と約束した王さまに、若者はガチョウが若返ってから、はじめてとびまわったとき、その下の土地を全部下さいといいます。そして、やせこけて骨をと皮ばかりになったガチョウをわかがえさせ、鳥の頭の上でおまじないのようなことをすると、ガチョウは空に舞い上がり、ツバメのようとびまわります。鳥はずっと遠くに飛んでもどってきます。
若者は王さまに約束したことをおもいださせ、ガチョウがとんだ下の土地をくれるようにいいます。
欲のない王さまは、ほんのちょっとだけの土地しか残らなくてもかまわないといいます。
この若者は、じつは聖者ケビスで、王さまをためしにきたのでした。
若者は、約束をまもったオー・ツール王をほめたたえ、王さまからもらった土地の半分を王さまにかえしてあげます。
たかが?ガチョウのために土地を手放すという王さま。人生の終末には何が大事でしょうか?
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