ライオンとタカとアリになった男の子/菱木晃子・文 MARUU・絵/BL出版/2019年
ある男の子が、お父さんが息をひきとるときに残してくれた、古びた剣と、すりきれたぬのきれ、わずかなパンくずをもって旅にでました。
ライオンとタカと小さなアリの争いを解決した男の子は、ライオン、タカ、アリに変身する力を得て、タカになって、空へ舞い上がり、大きな湖をわたっていきました。
やがて、お姫さまから、ふたりの姉のつぎに、トロルのもとに連れていかれることになることを聞いた男の子は、トロルの使いの竜を退治にでかけます。
男の子は、九つの頭を持つ竜を退治しますが、お姫さまが、九つ頭のトロルにさらわれてしまいます。
トロルがいる湖の真ん中の岩山にのりこむと、お姫さまの姉が、三つ頭のトロルのシラミをとっていました。もうひとりの姉は、六つ頭のトロルのシラミを、さらわれたお姫さまは九つ頭のシラミをとっていました。
トロルの弱点を聞き出した男の子は、お姫さまと二人の姉をすくいだし、王さまのもとへ帰りつきました。
トロルといえば、すぐに「三匹のヤギのガラガラドン」が浮かびますが、 MARUUさんが描くトロルは、これまでのイメージをまったくかえる斬新なものでした。
タカになって自由自在にとびまわり、ライオンになって竜に立ち向かい、アリになって鍵穴を自由に通り抜けると、昔話の王道です。
「このおはなしをきいたあたなにも、きっといいことがありますよ!」の結びもしゃれています。