最近、「未来の自由が丘を考える会」という会合に参加するようになりました。
キッカケはとても偶然でした。僕が講師をしている早稲田大学芸術学校で、ある日、都市計画の卯月盛夫先生の研究室にお邪魔した際に、自由が丘の駅前の広場の模型をつくっているところを見かけました。その時はじめて、目黒区から駅前広場の整備計画が出されていることを知ったのでした。区の計画案は交通の利便性を優先させたもので、人々が集い活用する広場としては、魅力に欠けるものに思われました。やはり自由が丘の住民も、同様に感じる方が多かったようで、住民からも意見を出し合うべきだということになり、上記のような会が発足したそうです。
卯月先生は、長きにわたりアドバイザーとしてまちづくりに関わってこられました。卯月先生を進行の中心として、専門の先生方、街の振興会の人々や住人が主体となり、このような「まちづくり」が議論されるのは、本当に良いことだと思います。そこで、僕も住人のひとりとして、会合に参加することにしました。
区の担当者を交えた会合では、最初からかなり熱~い議論がたたかわされました。話を詳細に追っていくと、風景論だけでは片付けられないいろいろな問題が複雑に絡み合っていることも、少しずつわかってきました。だからこそ、単に調整する案では、何の魅力もない案になってしまう。「街の顔」としての広場に求めるものは何か、優先順位とコンセプトについて、辛抱強い論議が必要なのだと思います。僕も建築の一専門家として、いろいろ意見を述べていきたいと思っています。
「自由が丘」という街は、戦時中に改名を迫られたりしながらも住人がその名を守りきってきた歴史があるそうです。住人主導でまちづくりをしてきたことに、古参の方々は誇りを持っておられるよう。自分の住む街に愛着がもてるほど幸せなことはないですよね。僕も微力ながらその活動に協力できれば、と思っています。