ブライチ

2008-08-22 17:00:48 | 音楽

先日、群馬音楽センターにて開かれたクラシックコンサートに行きました。アンコールを含めて4曲演奏されたのですが、そのなかでも楽しみにしていたのが、ブラームス作曲「交響曲第一番ハ短調 作品68」、略してブライチ。

この曲は大ヒットマンガ「のだめカンタービレ」で大きく取りあげられたことで、よりそのファンを広めたとも言えます(かく言う僕もそのひとりで・・・)

ブラームスはベートーヴェンに私淑し、その影を乗り越えようと苦しみながら作品を生み出していった人だったようです。その極めつけがこのブライチ。完成までまでの道程は長く、3歩進んでは2歩戻り、実に21年(!)の月日をかけて完成されたものでした。その曲調はとても重厚で、「ムダな音が一音もない」とも評されます。

音楽の世界にはやはり天才はいるのだろうと思います。溢れ出るイメージを曲にし、それがどれも素晴らしい。そうやって名曲は多く生まれたと思いますが、僕がブラームスを好きな最大な理由は、その慎重居士ぶりです。思いついたイメージに頼ることなく、考えに考えを重ねて作品を作り上げていくその姿勢です。それはどこか建築の設計にもつながるような気がしています。もちろん、頭に浮かんだ「空間のイメージ」をサラサラっとスケッチして、こんな感じの建築はどう?っていう才能の持ち主もいると思いますが、僕にはそもそもそんな能力は備わっていません。だから、考えに考え、何回もやり直しながら、自分がもっとも良いと思うものを発見していく、そんな態度を貫いていきたいと思っています。ブラームスの曲を聴いていると、パッと出のアイデアでは到底たどりつかないような、荘重で、永続的な雰囲気を感じ取ることができます。それが何より、自分にとって励みにもなるように思うのです。

080822

ところでコンサートが開かれた群馬音楽センターは、建築家アントニン・レーモンドの作品です。市民楽団のための、コンサートのためだけの建物。いろいろなことができますよ~というオール・イン・ワン型の箱モノではなく、その存在に、「地域に音楽を根付かせたい、地域の文化意識の象徴である」というような強い意志を感じます。老朽化したって、外のカミナリの音がすこ~し演奏中に聞こえるぐらい壁が薄くたって、設立の強い意志がみなぎった空間は、とても気持ちが良く美しいものでした。

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