これを初めて見たときは、眉毛がポン!!って上がりそうになったのを今でも覚えています。TOTO製の便器型ライター。TOTOとは、洗面器や便器などで有名な、あのTOTOです。TOTO製とはいっても、商品ではありません。粗品あるいはオミヤゲとでもいうのでしょうか。僕が学校を出て勤めた山下設計という会社で、入社間もない頃、向かいに座っていた先輩が僕にこれをくれたのでした。何かの打合せでTOTOの社員の方が来訪した際、記念にこういう品をオミヤゲにくれることがあったようです。
見れば見るほどよくできてます。手のひらにすっぽり収まるちょうどいい大きさ。便座カバーをパカンと上げて、ボタンを押すと便器の中から火がボッと出ます。足元にはスリッパまで!もちろんすべて陶器でできています。ガス充填式で、末永く使える一品です。
勤めていた会社は大規模建築を中心に手がける大手の設計事務所でしたので、メーカーの方がよく打合せに出入りしていて、何かのときにはこういうオミヤゲをいただきました。企業のネーム入りボールペンやカレンダーなどが多いのですが、なかには、ところどころにセクシーなお姉さんの写真がはいっている手帳などもありました(笑)。しかもそれは確か、ある防水メーカーのもの。そんなところに「ザ・建設業界」の雰囲気を感じてしまったものでした。
それもこれも、もう10年ほど前の話。今はだいぶ勝手も変わってきたように思います。きっと、オミヤゲにあまり経費はかけるな!という会社指令もあることでしょう。確かにその通り。それで、今では便器ライターも手に入らないという話も聞きました。自分が建設業のなかに足を踏み入れ始めた頃の懐かしい思い出とともに、この便器ライターも大切に手元に置いておこうと思います。もう、煙草も吸わなくなっちゃったけど。