「緑と住まい」というような内容でブログが続きましたが、最後にもうひとつ。
先日、オノ・デザインで設計した「桜坂の家」に遊びに行きました。住み始めてから、ちょうど3年ほど経ちました。
こんもりとした緑。
大きな左官塗りの壁。
控えめに開けられた窓。
ようやく、地域の古色ある雰囲気になじんできました。
中にはいると大きなソファのあるコーナーがあって、そこにも素適な窓辺を思い描いていました。
白い障子がたてこまれ、穏やかな光に満たされた静かな空間。
そして障子を開けると、ジューンベリーの鮮やかな緑に包まれるような空間。
外からの視線も気にすることなく窓を開けて、読書する時間が楽しい明るい窓辺。
3年の間に成長した植栽が、ようやくこの空間を実現してくれました。
都市部の小さな敷地では、うかつに窓を開けるとすぐに外からの視線にさらされ、なかなか落ち着いたスペースがつくれません。家の配置と、窓の配置と、植栽の配置。これらを小さな敷地のなかで、やりくりをしながらあれこれと考え、ようやく居心地のよいスペースができあがるように思います。僕にとっての「居心地の良さ」とは・・・どうやら、静けさとか、秘めやかさとか、そんな風な言葉で表現されるものなのでしょうか。
「桜坂の家」ができたとき、オープンハウスを開きました。多くの方に来ていただいて、それは光栄なことだったのだけれど、今こうしてあるべき姿に落ち着いてきたのを見ると、あの時、あまりこの住宅のことを紹介できていなかったのだろうという悔恨の念もでてきます。なにしろ、できたてほやほやで初夏の太陽のもと、むき出しのまま天日にさらされていたような状態でしたから。
僕の設計する住宅の場合、求める空間の雰囲気が得られるまで数年間、どうやら辛抱強さが必要のようです。それでも、長い時間をかけて味わいを増していく住まいなのであれば、むしろ喜ばしいことなのだろうと思います。