前回に続き、富士の現場の話。
棟上げ後、順調に工事は進み、今日は構造のチェックの日でした。窓枠なども取りつき、それぞれの窓からどのように景色が見えるかが体感できます。
周囲環境に呼応するようにして建物を計画するのはとても楽しいもので、この敷地の前を流れる疎水と緑地を活かすように考えて設計してきました。
模型のイメージ写真は、実際にはこんな感じになります。
静かで、落ち着いた雰囲気の空間をつくりたい。
ルイス・バラガンの建築のエッセンスを採り入れたような。
おおらかな空間に、ざっくりとした質感の材料。
そこに、選び抜くようにして開けた窓から、気持ちの良い景色が見える。
そんな家をつくりたいと思って設計をしてきました。
上の写真の大きな窓からは、疎水越しの風景が印象的に望めます。この窓はベンチのような深い出窓になっていて、窓辺に腰かけることができるようになっています。そこで本や雑誌を読んだり、コーヒーを飲んだりする時間が心地よいものになるように。ただそれだけを考えて設計をしています。窓には大きな庇がかかっていて、今日のような強い日差しを遮り、帽子のツバのような雰囲気でどこか安心感をもたらしてくれます。
窓の手前に置かれた大工さんの作業台は、さながらダイニング・テーブルのよう。
現場でのチェックや打合せを終えたあと、少し涼しくなってきた風通しを感じながら、場所の雰囲気に身を浸すのを楽しみました。