現場の話が続きます。今回は「大磯の家」。
大工さんの作業も大詰めを迎えています。
本丸ともいうべき、和室の造作がほぼできあがりました。
杉の磨き丸太に、フスマや障子の枠が別方向から絡んでくる納まり。
図面で描くとあっさりしたものですが、実際に造作するとなると、とても手間がかかります。
それもそのはず、というのも、丸太は根元と上の方で太さが違います。
枠材には溝が彫られていて、それが上下で少しでも位置が狂えば、戸の開け閉てがうまくいきません。
素材がそのまま仕上がりになりますので、失敗はできません。
「間違って切っちゃったりとかないんですか??」なんてバカでヤボな質問を大工さんに投げかけてみたところ、「そりゃ、トリプルチェックだよ!」との答え。
3歩すすんで2歩下がるような地道な調整の果てに、ようやくできあがる造作。
でもできあがったら、あっさりすっきり見えてしまう。
本当に質の高い仕事は、そういうものなのだと思います。