「南阿佐ヶ谷の家」の一年点検へ。
この家は、祖父が大事に育てた庭を残して建て替えました。祖父の庭木に寄り添うような居場所をつくるのが、設計当初からのテーマでした。
暮らしが始まって1年。大きな窓には古い庭木が広がります。
秋も少しずつ深まって枯れた風情が出てきているのも素適でした。
窓辺はⅬ型コーナーになっていて、ゆったりとしたソファが置かれています。
ここにいると、うっかりとうたた寝してしまうんですよ。
施主がそんなふうに話されていました。
時折、ヒュッゲという言葉を思い返しながら家の設計をしています。
ヒュッゲとはデンマークで古くから使われてきた言葉だそうですが、日本語に訳すと、ほっこりする、というような意味合いになるようです。
庭木に寄り添うように、祖父の思いでも身近に感じながら暮らす。
そんな平穏で静かな雰囲気を、秋の気配がやさしく彩っていました。