観てしばらくしてから、じわじわと「効いて」くる絵画というものがあると思います。
ぼくにとってそのひとつは、ヴィルヘルム・ハンマースホイ(Vilhelm Hammershøi)の絵画。
フェルメールの画風からの影響もいわれる北欧の画家です。
モノトーンが基調となった静かな画風。室内画が多く、ドア越しに向こう側の空間が垣間見え、連なっていきます。
そこにある事物と光と影だけが淡々と描かれたような画風。
何を主題にしているのかがはっきりわからないぶん、そこにある事物の存在感が、記憶のなかでなんだか不意に脳裏をよぎるのです。
「大磯の家」でも、そんな空間が不意に現れました。
地山の自然と雑木の庭を堪能することをテーマにつくられた家ですが、その余白というのか、外が見えない廊下の先に、ハンマースホイのような空間が現れてくれたのです。
障子を通して片側から入ってくる光に照らされて、ヘリンボーン張りの床がこんなふうに感じられるとは。
ヘリンボーン張りの床材は、施工もとっても大変。
コツコツと根気強く位置調整をしながら大工さんが張っていきます。
ベッドが置かれたら床が見えなくなっちゃうんじゃないの?せっかく張ったのにぃ。
と大工さんに言われた気もしますが、いやいやこの感じ、最高です。
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