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フィンランドの建築・デザインのレジェンド アルヴァ・アアルトとアイノ・アアルト夫妻の展覧会が世田谷美術館で開催されており、観に行きました。
大学で建築を勉強していた頃には、アアルトの建築の空間性だとか風土との呼応だとか、ロマンあふれる話をたくさん聞かされ、箱モノとしての建築ばかりに目が行っていました。
けれども今回の展覧会は、より身近な家具や什器や食器類によりフォーカスされた特集で、暮らしをいかに良いものにするか、という優しい眼差しに溢れた活動を展示したものでした。
きっと学生の時だったらあまり興味が湧かなかったかもしれないけれど、プロの建築家として仕事をするようになった今では、とても興味深いものでした。
それに、夫婦で建築・デザインの事務所を運営している(といっても規模はまるで違いますが)ところも共通していて、ついつい親近感は湧いてしまいます・・・ケンカとかならなかったですか~とか(笑)
え~、こほん。
特に奥さんのアイノ・アアルトの眼差しはより身近な暮らしに向けられていたようで、老人や子ども、療養中の人や福祉施設での家具や什器のデザインに、多くのアイデアが込められていることに感銘を受けました。
実用的であると同時に、それを使う人の心に寄り添うようなデザインは素晴らしいと思いました。
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そんな展示を見て回りながら、少し前にリビングデザインセンターOZONEと協働した「共生社会に向けたデザイン・プロジェクト」のことを思い出しました。
そこでは、特に障がいのある人に焦点をあてて、コロナ禍で暮らしにいかに支障が生じているかをリサーチしたうえで、コロナ禍以降においても使えるユニバーサルデザインを考えよう、というものでした。
世の中にはたいがいのものは商品化されていて、それをいかに選ぶか、ということが多いように思うけれど、こうしていろいろと考えてみると、やはり無いものも多いことに気付きました。
以下に挙げるのは、僕たちの提案のひとつ。
「みんなのソファ」と題したもので、室内で車椅子に乗っている人も、なるべく自分の力で移動し、人の輪のなかに自然と参加できるようなソファとして考えたものです。
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車いすから移乗しやすい高さの座面と、くつろぐのにちょうどいい高さの座面。
家族がみんなで座るこのソファにはちょっと段差をつけてあります。
テーブルを持ってきて、ごはんを食べたり宿題をしたり、
段差をまくらにうたたねをしたり。
家族の形態と気分に合わせたユニバーサルなソファ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/d5/0758e086ee6b7ed9304bc2df006df676.jpg)
ソファには手すりがついていて自力で移乗しやすく、そして移乗台はサイドテーブルとしても使えます。
ちょっとしたアイデアだけれども、ハンディキャップのある人も、健常の人も、意識することなく輪になれる。
「心のバリアフリー」が実現できるといいなと思います。
アイノ・アアルトさんが100年前に考えたことに、僕たちも少しずつでも続いていきたいなと思います。
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