モンマルトル

2020-05-02 21:26:43 | 旅行記


NHKで放映中の海外連続ドラマ「レ・ミゼラブル」は、その独特の映像美に引きこまれます。
貧富の差が激しく血なまぐさい時代のもつ暗さを、その退廃的な映像で感じさせます。
現在見るパリの街はとても優美ですが、それでも20世紀中頃までは黒く煤けたままの暗く退廃的な雰囲気も残る街並みだったとか。
きれいに洗われて、一直線に伸びる道の先に雄々しい記念建造物なんかがあったりしますから、旅行で訪れると、その優美さに思わず おお~!と感嘆の声をあげてしまいそうになります。

画家が集った界隈 モンマルトルは、そんな雄々しく優美な街並みとうってかわって、庶民的で寂れた風情が残っています。
(それでも立派な観光地としてかつてよりはきれいになったそうですが)
ぼくにとっても、もう15年ぐらい前になりますが、旅行でうろうろと散策していて一番心に残ったのが、この界隈でした。

風化した壁の表情と、雑草?プランター?が覗く小さな窓辺。たんなる通りすがりの街角にも、風化した独特の趣があり、とても好みでした。
モンマルトルといえば、ユトリロら画家たちがこぞって描いたサクレ・クール寺院が有名だけれども、そんな巨大な名所よりも、丘の上にある小さな名もなき教会のなかに、静けさと安寧がありました。

無名のものがもつ趣が、日常のなかに静かに息づいている。
今もそんな雰囲気を守ってくれているでしょうか。


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