シンプルなカタチ

2009-11-16 12:16:45 | アート・デザイン・建築

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後輩U君が持ってきてくれた、シンプルなワイヤーロープ式の物干し。彼がデザインを手がけ、グッドデザイン賞を受賞した一品。

見た目にもシンプルで、ワイヤーの巻き取りスピードなども制御された安全で実用的なモノ。
デザインはシンプルなものであるべきだとする主張は、元来、強い意志とともに生まれたものだったように思います。その内のひとつが、「用即美」。実用的であることが前提になっていたものでした。

シンプルさをスタイルとして演出するのではなく、実用性をまっすぐに見つめ、余計なものを削ぎ落とし、ついでに余計なことにかかるコストも削ぎ落とし、かと言ってシンプルさを徹底することにかかるコストも削ぎ落とし、結果として自ずとできあがるシンプルさ。そんなものに健康的なデザインの在りようを感じます。特に住設機器のような、実用性が大事なものであればあるほど。

デザインという言葉は、何かを主張するような前向きな印象が強いですが、僕はむしろ、簡素・即物・必然といったようなことから、おのずともたらされるような、いわば自己主張と逆のものに、深遠なデザインの質を感じたいと思います。

そんな意味でも、U君のデザインしたこの物干しを、僕は気に入っています。


余談ですが、本体と、ワイヤーを引っ掛けるパーツを積木のようにいじっていると、このシンプルなカタチが、何か建物のようにも見えてきます。

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ロマネスクの素朴な教会のような。鐘楼の部分に鐘がついてそう。



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にじり口のような壁。くぐりたくなってしまいます。

日常の器物を描き続けた、モランディという画家がいます。モランディが描いた静物画も、どこかイタリアの街並みを思い起こさせます。上の写真を見ていると、なんとなくその画風にもイメージを重ね合わされて、勝手に楽しんでます(笑)

そういえばモランディの画風も、自己主張とは逆の、静かで深遠なものでした。そんな話を、また次回に。

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