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ぼくが師・村田靖夫さんのアトリエに勤めて初めて担当した思い出深い住宅があります。
その住宅の改修工事が始まっています。
村田さんの設計は、寸法体系とプロポーションの吟味が厳密なことが特徴で、一見あっさりに見えるのだけれど、担当スタッフも職人さんも泣かされるキビしい仕事でした。
この住宅は村田さんの自邸が完成した直後に設計したものだから、その力の入ったディテールが暖簾分け(?)されて随所に散りばめられています。
いやあ、大変だった。怒鳴られる、帰れない。休みがない。文化として、当時の設計アトリエはブラックそのものでしたからね(笑)
築17年ぐらい経って、不具合の箇所や屋根の痛み、家具の改修、西日対策、などなど。
写真はまだ年初の寒い時期のものですが、それからいろいろと対策を考えて、いよいよ工事が始まりました。
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リビングからテラスへつながる窓は、大きなFIXガラスが特徴。
床暖房が仕込まれたタイルの上にガラスを直に納め、障子のレールも細かくタイルを切り貼りして納めてあります。
まあ、職人さんには、「絵で描くのは簡単なんだけどよ」と小言を言われたのは言うまでもありません・・・。
でも、何年経っても、きりりとした緊張感と品格のあるディテールだなと思います。
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