京都で小学校に通っていた頃、同級生のご両親の仕事はさまざまでしたが、土地柄か、会社員であるよりも、お店をやっている、ということが多かったように記憶しています。なかでも、家が呉服屋さんだとか和装関係の仕事をしているという同級生もちらほらといました。
小学校の同窓会の幹事をやってくれているK君もその一人です。K君の家は西陣織の帯屋さんだそうです。家業を継いだK君が、横浜の赤レンガ倉庫のイベントに出展するとのことで、立ち寄りました。西陣織を使った小物を中心とした出展でした。西陣織は、その独特の繊細な立体感も特徴で、単色のなかにあしらわれた模様が、光を受けて繊細な表情として表れます。K君によると、その織り機は、職人それぞれによって工夫と手が加えられ、同じ服飾関係の人が見ても、扱い方がわからないほどだそうです。
西陣織の名前は、小さい頃から慣れ親しんでいたものの、身近な日用品というわけではありませんから、やはり遠い存在でした。小中学生の頃の生活の足は、もっぱら自転車。もともと小さな街ですから、堀川通りの西に広がる西陣界隈も、よく自転車で走りました。かしゃかしゃ・・・という音だったか、姿は見えないけれど壁の中から織り機の音が聞こえてきたのを思い出します。世界に誇る伝統産業。近くて遠い存在。そんな世界をK君が継いでいることに、誇らしさのようなものも感じます。
西陣織の名刺入れをひとつ、購入しました。
表は洗練された黒。開くと、伝統的な西陣の文様のあしらわれたものです。
美しいものが、形式だけにとらわれず、いろいろな形で受け継がれていくといいですね。
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