た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

2月11日

2009年02月11日 | essay
 2月というのに一向に寒くならない。冬を早々箪笥に片付けてしまったかのような陽気である。過ごしやすいのは確かだが、地球温暖化とやらの影響かと思うと素直に喜べない。先日は夜中に窓を開けたら羽虫が飛び込んできた。今晩はしとしと落ちてくると思ったらみぞれである。
 ここは信州松本酷寒の地、数年前までは田んぼに水を撒いてスケートをしていたと聞く。それがきょうびは、夜が更けても雪にならない。事態は相当深刻である。
 深刻だが、こうぼんやりゆっくりと危機に迫られては重い腰を上げにくい。去年より確実に暖かくなっている気がするがなあ、と腕組みをして首をひねるばかりである。事態打開のためにいつ、何をすればいいのかはっきりしない。迷っているうちにどんどん地球は暖かくなる。ゆっくりとボイルされる蛙の気分である。現在、地球の温暖化は相当な速度で進んでいると聞くが、愚鈍な人間どもの目をあざむくには十分なほどの時間をかけているのであろう。
 本当の破滅とは、存外こんなものかも知れない。劇的、という表現からは程遠い、ずっとずっと、緩やかなもの。そう、気持ちの悪いほどに。
コメント (2)
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