2021年8月29日(日)発行の「婦人公論jp」に”[身のまわりの植物マメ知識]白粉花 別名「飯炊き花」。英語名は「フォー・オクロック」。夕方になると花開く。”という見出しの記事が掲載されています。
日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【白粉花】」です。
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開花する時刻に由来する別名をもつ植物
この植物は、日本には、江戸時代に渡来しました。夏から秋に、数個ずつ集まって、花が咲きます。花はロウト形で、色は赤、白、黄色などがあります。
花が咲いたあとにできるタネは、黒い球形で硬いですが、中には白い粉がいっぱい含まれています。この粉は、昔、お化粧に使われた白粉(おしろい)に似ています。
この植物のツボミは、必ず夕方に開花します。英語名は「フォー・オクロック」で、4時にツボミが開く植物という意味です。日本では、夏の夕方6時ごろに花が開きます。
中国名で「スダジョン(四打鐘)」、和名では「ユウゲショウ(夕化粧)」と開花する時刻に由来する別名をもっています。また、「メシタキバナ(飯炊き花)」といわれ、この花が開くと、夕ご飯の準備をはじめるという意味です。
確実にタネをつくるための保険がかけられている
花が開いたとき、メシベはオシベより長く伸びだして、虫が他の株の花粉を運んできてくれるのを待っています。自分のオシベには目もくれていないように見えます。
しかし、花が萎れる前には、花の中でメシベとオシベが寄り添って合体します。もしそのときまでに花粉を運んでくれる虫が寄ってきてなかったら、これによってタネができます。この植物には、確実にタネをつくるための保険がかけられているのです。
この植物を栽培していると、花が咲いたあとには、ほぼ確実に、黒い五ミリメートルほどの球形のタネができます。このタネには、他の株に咲いた花の花粉がついてできたものがありますが、自分の花粉がついてできたものも混じっています。
オシロイバナ(白粉花)
[科名]オシロイバナ科
[別名]ユウゲショウ(夕化粧)、メシタキバナ(飯炊き花)
[原産地]熱帯アメリカ
[花言葉]臆病、恋を疑う、しめやかな愛情