10月26日、画像のかんぽの宿・一関が見える国道342号線沿いで、民家の防風林として植えられたと思われるヒノキ(檜/桧)の木を見つけた。手の届くところに沢山の実をつけていた。
手元の図鑑には、「分布:本州(福島県以南)、四国、九州(屋久島まで)」とあるので、あるいは違う木かもしれない。
画像は、革のボタンのような球果を鈴なりにつけたヒノキ(檜/桧)と思われる樹木。もっと秋がふかまると、赤褐色になり、裂開して種子を出すという。
ヒノキ(檜/桧)ヒノキ科 ヒノキ属 Cupressaceae obtusa
山地に自生し、高さ30~50mほどにもなる常緑針葉高木。枝はやや水平に広がり、密な卵形の樹冠となる。日本固有の植物。
葉は鱗片状で先は鈍く、裏面は上下左右の葉が接するところに白い気孔線があり、Y字形に見える。
花は雌雄同株。花期は4月。雌雄とも枝先につく。雄花は長さ2~3mmの楕円形で、赤みを帯びる。雌花は長さ3~5mmの球形。スギと同じように花粉症を引き起こすことが知られている。
球果は直径約8~10mmの球形。開花した年の10~11月に熟し、赤褐色になる。熟すと果鱗が開いて種子を出す。果鱗の先は厚く楯状に発達し、ふつう8~10個ある。果鱗には種子が2~4個ずつつく。種子は長さ約3mmの卵状楕円形で、両側に広い翼がある。
材は日本の針葉樹の中で最も評価が高い、辺材は黄白色、心材は淡い紅色で、ともに光沢があり、香りが高い。また耐朽性があり、腐りにくいことから、建築材として古くから重用されてきた。世界最古の木造建築である法隆寺ガ」ヒノキでつくられていることはあまりにも有名。
樹皮も耐朽性があり、古くは屋根を葺くのに使われた。ヒノキの樹皮で葺いた屋根を「檜皮葺」と呼び、現在でも檜皮葺の神社は多い。
また、樹齢100年を超える木目のつんだ天然木は、刃物で彫りやすいことから、仏像や能面などの材料に使われる。材は均等に割りやすいので、この性質を生かして、木曾地方では薄く割ってテープ状にして編み、檜笠をつくった。
庭園樹、生垣、建築材、土木用材、器具材、彫刻材
東北自動車道・一関ICから国道342号を名勝・厳美渓方面へ西行すると、3kmほどで簡保の宿・一関&宝竜温泉がある。
きょう(10/26)は、この辺りを歩いてみた。画像は、かんぽの宿・一関と国道の表示板。この国道342号線をどんどん行けば、真湯温泉を経て須川温泉、秋田県である。
一関市厳美町字上野16番2 阿部一彦さん宅の前に一関市景観保存樹木指定のサイカチ(西海子)の巨木があった。果実(豆果)は高いところになっているのでよくわからないが、20~30cmもあり、しかもねじれているという。昔は石鹸の代用にしたので、今でも髪の毛を洗うのに使用している人たちがいるそうです。
サイカチ(西海子/筴)マメ科 サイカチ属 Gleditsia japonica
山野や川原や水辺に生える落葉高木で高さは15mぐらいになる。樹皮は灰白色、昔はサヤを石鹸の代用にしたり、種子は薬用にしたりしたので、植えられているものもある。「カワラフジノキ」という別名もある。
幹や枝には枝が変形したものという鋭い大きな刺があり、刺は枝分かれしている。葉は1~2回偶数羽状複葉で、葉軸には短い軟毛がある。小葉は長さ2~4cmの長楕円形で、6~12対ある。
6月頃、総状花序に淡黄緑色の小さな花をつける。同じ株に雄花、雌花、両性花がつく。豆果は長さ20~30cmでねじれている。この豆果はサポニンを含み薬用となる。
分布:本州、四国、九州、朝鮮、中国
10月21日、一関市大東町大原の山吹城本丸跡に生えているイチョウの巨樹の下で、果実のように見えるオオバジャノヒゲ(大葉蛇の髭)の種子を見つけた。
オオバジャノヒゲ(大葉蛇の髭)ユリ科 ジャノヒゲ属 Ophiopogon planiscapus
山野の林内に群生する常緑の多年草。地中に長い走出枝(ランナー)をのばして増える。葉はジャノヒゲより厚くて幅が広く、長さ15~30cm。幅4~7mm。
7~8月、高さ20~30cmの花茎の上部に淡紫色または白色の花をまばらな総状につける。花は長さ6~7mmで、横向きまたは下向きに開く。種子はくすんだ灰緑黒色。
ユリ科のジャノヒゲ属やヤブラン属の果実は果皮が早い段階で落ちてしまうので、種子はむき出しのまま成熟す。 分布:本州~九州
画像は、オオバジャノヒゲ(大葉蛇の髭)の種子。葉はジャノヒゲよりヤブランに似ているが、花は下向きまたは横向きに咲く。果実のように見えるのはむき出しになった種子で直径7mmほど。
画像は、一関市東山町長坂・幽玄洞近くの猿沢川に架かる橋の上から眺めた猿沢川。この橋の上から高さが5mほどのアワブキ(泡吹)の木の赤い果実が見えた。葉は大きく、20~27対の平行に走る側脈がよく目立つ。
アワブキ(泡吹)アワブキ科 アワブキ属 Meliosma myriantha
山地に生える落葉高木で高さ8~15mになる。樹皮は緑色を帯びた紫灰色でなめらか。葉は有柄で互生し、長さ8~25cmの長楕円形、先端は短く急に尖り、縁には先端が芒状になった浅い鋸歯があり、裏面には褐色の毛がある。
6~7月、枝先の長さ15~25cmの円錐花序にクリーム色(淡黄白色)の小さな花を多数開く。綿菓子のような花序がよく目立つ。果実は直径4mmほどの球形(核果)で秋に赤く熟す。中には種子が1個る。
和名は、この木を燃やすと切り口から盛んに泡が出ることによるという。
分布:本州、四国、九州、朝鮮、中国