ビートルズマニアから貰った、ポール.マッカートニーのアルバムKISSES ON THE BOTTOMを聴く。アメリカンスタンダードナンバーを歌ったもので、全体にジャズ色が強く、そうなると声質からどうしてもチェット.ベイカーと比較してしまう。どちらが良いかと言われれば間違いなくチェット.ベイカーということになるが、これはこれで肩の力が抜けてBGMには丁度いいと言える。
このように畑違いの人間が出すアルバムは過去にもいろいろあるが、正直な所本職を越えたと思うようなものはあまりないのではないか。似たケースで思い出すのは、キース.ジャレットが出したバッハの平均律。これも、他のクラシックの本職が弾いたものと較べるとどこか軽い印象。引っかかる部分がないと言えば良いか、チェットベイカーも軽いといえば軽いのだが、ポールの軽さとは違い何かが引っかかるのだ。これは多分に感覚的なものなのでこれ以上説明できない。そんな感覚的な微妙な違いで好き嫌いが決まってくるのだから、音楽の世界も多種多様となってくるわけだ。