ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

小津DVDセット

2013年01月07日 | 映画

 

小津のDVD9枚セットの内わけは、「東京物語」「麦秋」「晩春」「父ありき」「風の中の牝鶏」「一人息子」「戸田家の兄弟」「お茶漬けの味」「長屋紳士録」だ。この中で観たことないのは「父ありき」「長屋紳士録」の二本、だと思う。何故思うとしたかというと、ひょっとしたら観てるかもしれないからだ。小津映画は、タイトルと中身が記憶の中ではごっちゃになっているのが多いので、取り敢えず観るまでは観たかどうかははっきりしない。元々物語としては血湧き肉踊るという類のものではないので(どれも似たようなものといえば似たようなもの)、その点では印象は薄い。だから筋だけで楽しもうと思えば、こんなに詰まらない映画もないかと思われる。しかも分かり易い大袈裟な感情表現も一切ないし。が、ここがテレビドラマとは大きく違うところだが、そこにはショットの力と言うものが充溢しているのだ。物語自体は静謐の中、淡々と進んでいくのだが、不意に撃たれるショットの快感、とでも言いいたいような魅力が小津映画にはある。だから、既に観たものでも観る度に楽しめるわけなのである。そして常に新しい発見がある。

コメント