ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

パッキャオ 

2013年01月28日 | Weblog

アップしたら、何故か文章のみが消えてしまった。バックアップ機能も働かず。仕方ないので思い出しながら再び書こうと思うが、結構長かったんで大変だ。

NHKスペシャルで珍しくボクシングを取り上げていた。フィリピンの英雄パッキャオだ。日本では、多分ボクシングに興味のある人しか知らないが、フィリピンでは知らない人がいないと言っても良い六階級制覇の世界的な天才ボクサーなのだ。兎に角強い。ということなのだが、今はボクシングに殆ど興味がないので、正直な所名前くらいしか知らなかった。最新試合の対マルケス戦は、あのパッキャオがKO負けしたというのをニュースで知り、ユーチューブで慌てて映像を見た、と言う程度の。

今でこそこんな状態だが、嘗てはボクシングが好きな時代もあったのだ。毎週夜11時過ぎにやってたダイアモンドグローブは欠かさず見ていた。カシアス内藤、西条正三、大場政夫の時代である。今となっては、何故そんなに好きだったのか自分でも不思議に思う。ただ、当時のボクシングは、今と違いいろんな面でシンプルでそれが良かったのかもしれない。階級も今ほど分かれていないし、団体もWBC?くらいだし、会場も余計な演出のない寒々しいくらいの後楽園ホールだし、そこで行われる試合も、肉体の生のぶつかり合いと言う原始的な世界をより体現していたように思えた。

で、パッキャオ対マルケスの試合だが、場所はラスベガス。完全なるショウビジネスの世界だ。やり手プロモーターが大金を稼ぐために仕掛けるわけだ。今や主な収入源はペイパーヴュー(5000円ちょっと)で、その対象はヒスパニック系(アメリカで一番多いから)ということらしい。相手がメキシコのマルケスであるという理由にはそういうこともあるのだ。結果、読み通りに大金を得た。因みにパッキャオのファイトマネーは20億円。

リングサイドで熱狂するのは金持ちの白人(こちらは退廃的な楽しみ)、テレビの前で熱狂するのは貧乏なヒスパニック系、この図式は今の世界を象徴しているようで興味深い。仕掛け人によっていいように収奪される貧乏人というのは、サッカーの世界を思い起こさせるが、これはスポーツ全般にも言える事だ。熱狂を手に入れ、その実上手い具合にガス抜きされているだけなのかもしれない。

今回負けたとは言え今までも大金を得ているパッキャオは、生まれ故郷のミンダナオに私財を投げ打って施設などを建て続けている。多分、取り巻きに相当甘い汁を吸われていると思われるが、国会議員でもあるしでそういう活動は彼の中では大きな位置を占めているのだろう。しかしミンダナオも、30年以上前(当時一ヶ月ほど滞在)と較べて今の方が良くなってるとも思えないところが悲しいところである。と、パッキャオの後ろにある風景を見てたらつい思ってしまった。

 

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