通りを歩いていてよく見かける冬の光景に、手袋が片方だけ落ちているというのがある。通年であれば軍手だ。何故片方だけが、とちょっと不思議だったが、自分で失くしてみてその理由が分かった。嵌めてれば絶対失くすわけはないから、問題は外しているときである。大体がポケットに入れる。ところがその入れ方が問題だった。きっちりたたんで重ねてポケットに入れればまず出ることはないのだが、失くす人の多くは多分二つまとめて適当に突っ込むのだ。するとどうなるか。片方の指の部分だけが顔を出している場合がかなり多い。手袋の立体構造にによる復元力が侮れないのである。ちょっと押し出される力が働くのだ。かくしてポケットから顔を出している片方の手袋は、何かの拍子に外に出てしまうのである。そして落とした本人が気づくのは、暫くして再び嵌めようとするときだが、そのときには既に片方がなくどこで失くしたかも見当も付かないのである。