ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

クレージーホース.パリ 夜の宝石たち

2013年02月09日 | 映画

 

昨日の「パリで逢いましょう2区」は、過去のものと較べると明らかにトーンが違っていた。定点である店があまり意味を成さない、よくあるパリ紹介番組のような現地の普通の生活を感じさせない薄い内容だった。

というわけで、パリのクレージーホースを舞台にしたドキュメンタリー映画を見た。監督は、フレデリック.ワイズマンというドキュメンタリー映画の第一人者。作品名は「クレージーホース.パリ 夜の宝石たち」という。クレージーホースはパリの三大キャバレーの一つで(他はムーランルージュ、リドだっけ?)夜毎ヌードショーが繰り広げられている、夜のパリとしては超有名どころだ。そこの舞台裏を中心に撮影したこの映画は、ショーが出来るまでの演出家、ダンサーのそれぞれの姿を丹念に描いている。ダンサーたちがバレーの失敗集のようなビデオを見て(緊張をほぐすため)笑い転げてる姿とか、オーディション風景とか(一番重要なのはプロポーションらしい)、普段絶対見られない世界が見られ興味深い。この手のショーに限らずショー全般に興味はないのだが、変化に富んだ照明とか、洗練された演出とか、ダンサーの質とか、ここのレベルの高さは理解できる。時たま、日常のパリの風景を挿入する所など小津を思わせるようなショットが入ったりと、ドキュメンタリーとしてもやはり質は高いと思う。唯、流石にこういう映画はパソコンには不向き。色彩のきらびやかさが伝わらない。大きなスクリーンで見るべき映画である。

映画ではなく本物のクレージーホースは、共同経営者の一人の奥さんが日本人で、しかも直接奥さんを知っている人間からクレージーホースのことを聞いていたので、何となく身近に感じていた(行こうという気にはならないくせに)。そこで、この映画のことを聞いてくれるように頼んでおいた。実際聞いてくれたのだが、当の奥さんは全くそういうことに興味はないらしく、殆ど知らないということであった。確かに、フレデリック.ワイズマンという名前でむっむっむっとなる人は相当少ないと思われる。映画ファンと言ってる人の中でも一割もいるかどうか、まあこの反応は止むを得ないであろう。

 

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