今朝はマイナス5度ちょい、このくらいだと寒い!というレベルではないのだが、寒いことは寒い。
小津DVDセットの「父ありき」を観た。不思議に感じたのは、この映画、製作が1942年と戦争真っ只中に作られたのだが、普通この時期の映画だと間違いなく戦争の影を感じるのだが、これが殆どないのだ。戦争中にも変らず小津の世界を押し通しているのは、ひょっとすると、小津の戦争に対する抵抗の表れかもしれない、と観てて思った。父親役の笠智衆はこの時38歳で一人息子役の佐野周二(関口宏の父親)が30歳となんとも面白い組み合わせだが、笠智衆が本当にそう見えるのは彼の人間としてのキャラクターのなせる業であろう。いつ見ても思うが、役者は上手い下手ではなくその存在感が重要である。たまたま昨日テレビで三船敏郎について触れていたが、彼も決して上手い役者の類ではなく存在感が光る役者の代表かと思う。
最近、存在感のある役者が減ってきたとよく言われるが、これは殆どテレビのせいと思われる。テレビでは器用な役者が望まれる(そして使い捨て)。喋らず光るなどという役は必要とされてないのでこうなるのも仕方ないのだ。映画俳優の神秘性というものも、遥か昔の言葉となってしまったのだ。