超ひも理論と「影の世界」 見えない! さわれない! 謎の世界, 広瀬立成, 講談社ブルーバックス B-789, 1989年
・前半4分の3が前置き、残り4分の1が超ひも理論の話という構成。超ひも理論までたどり着くには、素粒子論の基礎知識が必要なため、一筋縄ではいきません。普段あまり耳にしない素粒子名がたくさん出てきてややこしく、じっくり読まないと理解は難しい。クォーク、レプトンはまだいいとして、ゲージ粒子であるグラビトン、フォトン、グルーオン、ウィークボソン、さらにはハドロン、バリオン、メソン、π中間子、μ粒子、τ粒子……などなど。ともかく、本書では数学的な話は一切省き、かなりの簡略化をしてあるようで、本格的に理論を理解するには相当勉強が必要だと思われます。とりあえず『世界は "ひも" でできている(かもしれない)』という程度の理解。全体的な難易度はやや高め。
・「事実、アインシュタイン自身、「想像力は知識よりもっと大切である」とのべている。」p.5
・「影の世界を予言する超ひも理論は、大げさな言いかたをすれば、これまでの物質研究の集大成であり総決算ともいうべきものである。それは、これまでのあらゆる物理の理論を包括し、同時に、あらゆる理論をはるかにしのいでいる。」p.9
・「「物質とは何か」「宇宙とは何か」という問題は、<力>を抜きにして語れない。」p.22
・「超ひも理論は、究極の力として、「原始の力」を予言する。すなわち、ある条件の下で四つの力はすべてもっとも根元的な力としての「原始の力」に一本化されている――というのである。」p.24
・「ところで、電磁波にしろ素粒子にしろそれらを用いて何かを見るためには、かならず、電磁波や素粒子が対象と作用する――これを専門的な表現では「相互作用」という――ということが絶対条件になっている。」p.34
・「だがアインシュタインは、自然界の力――重力と電磁力――がある種の物理法則や対称性によって究極的には統合されなければならないという信念をもっていた。アインシュタインが力の統一を追求したのはまちがいではなかった。しかし、「重力」を「電磁力」と統一しようとした戦略は明らかに的をはずれていた。」p.134
・「超ひも理論はたんに力を統合するというだけに止まらない。それまで物質の素材と考えられてきたクォーク・レプトンが、さらに基本的な要素<ひも>からなると主張する。つまり、わが宇宙には超微少なひもが充満しており、そのひもこそあらゆる物質、あらゆる力を生成する根元的な要素である、というのである。」p.152
・「ひものアイディアは今から20年ほど前、南部によって提案された。」p.165
・「その後の研究では、閉じたひもがもつ独自の対称性――数学の言葉でいえばE8×E'8――が発見され、「ヘテロ(混成)型超ひもモデル」と名づけられた。このモデルがもつ対称性(E'8)は、大統一理論の対称性――これは数学の言葉でSU(5)という――よりも大きく、したがって、大統一理論がもつあらゆる性質をそのまますっぽり超ひも理論の内部にはめこんでしまうことができる。これまでに存在する理論のなかで発散とアノマリーを完全に打ち消し、重力を量子力学的に矛盾なく処理できる理論は超ひも理論以外には発見されていない。」p.192
・「ともかく四つの力がすべて一本化する超ひもの世界と、今日われわれが観測できる世界の間には20桁にもおよぶ大きなへだたりがある。しかも前者が高次の対称性をもつ<美しい世界>であるのに対し、わが現実の世界は対称性が大きく破れた<きたない世界>である。」p.215
・前半4分の3が前置き、残り4分の1が超ひも理論の話という構成。超ひも理論までたどり着くには、素粒子論の基礎知識が必要なため、一筋縄ではいきません。普段あまり耳にしない素粒子名がたくさん出てきてややこしく、じっくり読まないと理解は難しい。クォーク、レプトンはまだいいとして、ゲージ粒子であるグラビトン、フォトン、グルーオン、ウィークボソン、さらにはハドロン、バリオン、メソン、π中間子、μ粒子、τ粒子……などなど。ともかく、本書では数学的な話は一切省き、かなりの簡略化をしてあるようで、本格的に理論を理解するには相当勉強が必要だと思われます。とりあえず『世界は "ひも" でできている(かもしれない)』という程度の理解。全体的な難易度はやや高め。
・「事実、アインシュタイン自身、「想像力は知識よりもっと大切である」とのべている。」p.5
・「影の世界を予言する超ひも理論は、大げさな言いかたをすれば、これまでの物質研究の集大成であり総決算ともいうべきものである。それは、これまでのあらゆる物理の理論を包括し、同時に、あらゆる理論をはるかにしのいでいる。」p.9
・「「物質とは何か」「宇宙とは何か」という問題は、<力>を抜きにして語れない。」p.22
・「超ひも理論は、究極の力として、「原始の力」を予言する。すなわち、ある条件の下で四つの力はすべてもっとも根元的な力としての「原始の力」に一本化されている――というのである。」p.24
・「ところで、電磁波にしろ素粒子にしろそれらを用いて何かを見るためには、かならず、電磁波や素粒子が対象と作用する――これを専門的な表現では「相互作用」という――ということが絶対条件になっている。」p.34
・「だがアインシュタインは、自然界の力――重力と電磁力――がある種の物理法則や対称性によって究極的には統合されなければならないという信念をもっていた。アインシュタインが力の統一を追求したのはまちがいではなかった。しかし、「重力」を「電磁力」と統一しようとした戦略は明らかに的をはずれていた。」p.134
・「超ひも理論はたんに力を統合するというだけに止まらない。それまで物質の素材と考えられてきたクォーク・レプトンが、さらに基本的な要素<ひも>からなると主張する。つまり、わが宇宙には超微少なひもが充満しており、そのひもこそあらゆる物質、あらゆる力を生成する根元的な要素である、というのである。」p.152
・「ひものアイディアは今から20年ほど前、南部によって提案された。」p.165
・「その後の研究では、閉じたひもがもつ独自の対称性――数学の言葉でいえばE8×E'8――が発見され、「ヘテロ(混成)型超ひもモデル」と名づけられた。このモデルがもつ対称性(E'8)は、大統一理論の対称性――これは数学の言葉でSU(5)という――よりも大きく、したがって、大統一理論がもつあらゆる性質をそのまますっぽり超ひも理論の内部にはめこんでしまうことができる。これまでに存在する理論のなかで発散とアノマリーを完全に打ち消し、重力を量子力学的に矛盾なく処理できる理論は超ひも理論以外には発見されていない。」p.192
・「ともかく四つの力がすべて一本化する超ひもの世界と、今日われわれが観測できる世界の間には20桁にもおよぶ大きなへだたりがある。しかも前者が高次の対称性をもつ<美しい世界>であるのに対し、わが現実の世界は対称性が大きく破れた<きたない世界>である。」p.215