頭を鍛えるディベート入門 発想と表現の技法, 松本茂, 講談社ブルーバックス B-1112, 1996年
・著者の経歴を見ると、学生の頃から各種ディベート大会で優勝したり日本代表になったり、その後アメリカに渡りディベートを教え、日本の大学に帰るとディベート協会の理事などと、まさにディベートをするために生れてきたような人物の手による入門書。新書の分量の制約から内容はほんのさわり部分のみ。大雑把にディベートとはどんなものかを知るには格好の書。
・ディベートといえば、昔大学の授業にて「原子力発電は是か非か」という題について、それらしきものをやらされた記憶があります。なぜか聴衆には北電の社員も混じっていて、私の拙い発表にもかかわらず熱心にカリカリとメモをとっていたのが記憶に残っています。『ディベート』と聞くと、私の場合『面白さ』よりも『大変さ』のイメージの方が先にきます。その点を考えると、『ディベート競技で勝つ方法』よりは『ディベートの考えを取り入れた建設的日常会話の方法』といった内容の方がお気楽で、興味が持てそうです。
・カバーに描かれたなんとも不気味なキャラクター[写真]。すごーく気になり作者をチェックすると、『土橋とし子』の名が。さらにWikipediaを手繰っていくと、なぜか『ちびまる子ちゃん』に行き着いた。ヘェェー。どうでもよい知識がまた一つ。
・「ディベートのことを自分の意見を押し通すための話術だとか、口先だけうまくなる学習法だとか思っているのなら、それはとんでもない誤解だ。問題を創造的に解決することこそがディベートの目的であり、その本質は論理的な発想の技法である。本書では、論点の整理法や客観的資料の使い方を通して、こうしたディベートのエッセンスを詳しく解説し、さらにディベート思考法を応用したユニークな英語学習法も紹介する。」カバー
・「いい加減に発言を聞いていると、発想が貧弱になり、脳の働きが退化してしまう。」p.13
・「ディベート(debate):ひとつの論題に対し、2チームの話し手が肯定する立場と否定する立場とに分かれ、自分たちの議論の優位性を聞き手に理解してもらうことを意図したうえで、客観的な証拠資料に基づいて議論をするコミュニケーション形態。」p.20
・「ディベートに不可欠な構成要素 ディベーター(肯定側および否定側) 審査員(聴衆) 論題(命題)」p.21
・「手強い相手と議論をすればするほど、かえって自分も思ってもみなかったすばらしい意見が浮かぶようになる。相手の議論や戦略を乗り越えるようなものを創出しようとする。」p.33
・「2つの相反する立場(結論)から議論しあうことにより、真実(social truth)を見いだそうとするのがディベート本来の意義である。」p.58
・「私自身、「心」「頭」「体」のバランスのとれた若者を輩出することが家庭そして学校での教育の目的だと考えている。」p.61
・「今後の大学教育のひとつの目標は「ディベートができる人材の輩出」であると考えている。」p.63
・「大学教員が「何を」教えるのかばかりに注意を向けるのではなく、「どのように」教えるかを考え始めたとき、ディベートがその有力な答えになることは明らかである。」p.64
・「自分自身でディベート的な発想を見につけるには、論題を考えながら、あるいは論題を作りながら新聞を読むとよい。」p.71
・「これは、ふだんの会議でも言えることである。話の骨格に関係ないデータについてのちょっとした間違いであっても、それを指摘してディスカッションの流れを止めたり、話しの腰を折る人が意外に多い。間違いに気がついても指摘しないのも、場合によっては議論に参加する際に重要なテクニックとなる。」p.111
・「なおかつ、たんに4技能(聞く、話す、読む、書く)だけでなく「考える」という第5の技能も磨くことができたことによって、結果として英語の力もついたようだ。」p.141
・「日本人の場合、発音、文法などは、英語が外国語である国の人たちとくらべてみてもそれほど見劣りはしない。しかし、決定的に違うのが流暢さ(fluency)である。」p.151
《チェック本》小林康夫(編)『知の技法―東京大学教養学部「基礎演習」テキスト』
・著者の経歴を見ると、学生の頃から各種ディベート大会で優勝したり日本代表になったり、その後アメリカに渡りディベートを教え、日本の大学に帰るとディベート協会の理事などと、まさにディベートをするために生れてきたような人物の手による入門書。新書の分量の制約から内容はほんのさわり部分のみ。大雑把にディベートとはどんなものかを知るには格好の書。
・ディベートといえば、昔大学の授業にて「原子力発電は是か非か」という題について、それらしきものをやらされた記憶があります。なぜか聴衆には北電の社員も混じっていて、私の拙い発表にもかかわらず熱心にカリカリとメモをとっていたのが記憶に残っています。『ディベート』と聞くと、私の場合『面白さ』よりも『大変さ』のイメージの方が先にきます。その点を考えると、『ディベート競技で勝つ方法』よりは『ディベートの考えを取り入れた建設的日常会話の方法』といった内容の方がお気楽で、興味が持てそうです。
・カバーに描かれたなんとも不気味なキャラクター[写真]。すごーく気になり作者をチェックすると、『土橋とし子』の名が。さらにWikipediaを手繰っていくと、なぜか『ちびまる子ちゃん』に行き着いた。ヘェェー。どうでもよい知識がまた一つ。
・「ディベートのことを自分の意見を押し通すための話術だとか、口先だけうまくなる学習法だとか思っているのなら、それはとんでもない誤解だ。問題を創造的に解決することこそがディベートの目的であり、その本質は論理的な発想の技法である。本書では、論点の整理法や客観的資料の使い方を通して、こうしたディベートのエッセンスを詳しく解説し、さらにディベート思考法を応用したユニークな英語学習法も紹介する。」カバー
・「いい加減に発言を聞いていると、発想が貧弱になり、脳の働きが退化してしまう。」p.13
・「ディベート(debate):ひとつの論題に対し、2チームの話し手が肯定する立場と否定する立場とに分かれ、自分たちの議論の優位性を聞き手に理解してもらうことを意図したうえで、客観的な証拠資料に基づいて議論をするコミュニケーション形態。」p.20
・「ディベートに不可欠な構成要素 ディベーター(肯定側および否定側) 審査員(聴衆) 論題(命題)」p.21
・「手強い相手と議論をすればするほど、かえって自分も思ってもみなかったすばらしい意見が浮かぶようになる。相手の議論や戦略を乗り越えるようなものを創出しようとする。」p.33
・「2つの相反する立場(結論)から議論しあうことにより、真実(social truth)を見いだそうとするのがディベート本来の意義である。」p.58
・「私自身、「心」「頭」「体」のバランスのとれた若者を輩出することが家庭そして学校での教育の目的だと考えている。」p.61
・「今後の大学教育のひとつの目標は「ディベートができる人材の輩出」であると考えている。」p.63
・「大学教員が「何を」教えるのかばかりに注意を向けるのではなく、「どのように」教えるかを考え始めたとき、ディベートがその有力な答えになることは明らかである。」p.64
・「自分自身でディベート的な発想を見につけるには、論題を考えながら、あるいは論題を作りながら新聞を読むとよい。」p.71
・「これは、ふだんの会議でも言えることである。話の骨格に関係ないデータについてのちょっとした間違いであっても、それを指摘してディスカッションの流れを止めたり、話しの腰を折る人が意外に多い。間違いに気がついても指摘しないのも、場合によっては議論に参加する際に重要なテクニックとなる。」p.111
・「なおかつ、たんに4技能(聞く、話す、読む、書く)だけでなく「考える」という第5の技能も磨くことができたことによって、結果として英語の力もついたようだ。」p.141
・「日本人の場合、発音、文法などは、英語が外国語である国の人たちとくらべてみてもそれほど見劣りはしない。しかし、決定的に違うのが流暢さ(fluency)である。」p.151
《チェック本》小林康夫(編)『知の技法―東京大学教養学部「基礎演習」テキスト』