神経線維腫症Ⅰ型(neurofibromatosis type1;NF1,レックリングハウゼン病)はカフェ・オ・レ斑,神経線維腫を主徴とし,骨・眼病変,神経腫瘍など多彩な症候を呈する常染色体性優性の遺伝子絵全身性母斑症である.原因遺伝子は17q11.2に存在し,neurofibrominをコードする遺伝子である.皮膚の神経線維腫は思春期頃より全身に多発するが,末梢神経内の神経線維腫(nodular plexiform neurofibroma)やびまん性の神経線維腫(diffuse plexiform neurofibroma)がみられることもある。一般に生命予後は比較的良く,中枢病変や神経線維腫が悪性化(malignant peripheral nerve sheath tumor; MPNST)する頻度は数パーセント以下と言われている.本邦の平成元年の調査では,NF1患者数は約 4万人前後と推定されている.NF1に関して主治医の先生にぜひ忘れないでいただきたい合併症がある.それはplexiform neurofibromaによる頚髄圧迫による四肢麻痺である.この病態は文献的にはほとんど記載がないものの個人的には経験がある.今回,13名のcase seriesが報告されたので紹介し,注意喚起を促したい.
方法はretrospective studyで,期間は約10年間,検討施設は米Washington大および英Guy’s and St Thomas病院の2施設である.約1500名のカルテを検討し,結果として13名(1%弱;9~61歳,平均25歳)に plexiform neurofibromaによる頚髄圧迫を確認した.症状は進行性の四肢麻痺が7名,対麻痺3名,尿失禁1名,頚部痛3名であった.なぜかわからないが,圧迫部位はC2-C3が圧倒的に多かった.治療としては,13名中11名で椎弓切除術とneurofibromaの部分切除を行い,術後平均28ヶ月の経過観察を行った.2例で腫瘍再成長に伴う再手術を要したが,大半の症例では手術により神経症状が回復し,症状が悪化するということはなかった.神経画像所見による圧迫の程度と臨床症状は必ずしもパラレルではなく,画像よりも神経所見が手術のタイミングの決定に重要と考えられた.
もしNF1の患者さんの経過観察中に四肢の筋力低下が出現したら,上位頚髄を左右から圧迫するような病変がないか確認してほしい.この病変に気がつけば,続発する四肢麻痺や呼吸不全の合併を防ぐことが可能となる.
JNNP 78; 1404-1406, 2007
方法はretrospective studyで,期間は約10年間,検討施設は米Washington大および英Guy’s and St Thomas病院の2施設である.約1500名のカルテを検討し,結果として13名(1%弱;9~61歳,平均25歳)に plexiform neurofibromaによる頚髄圧迫を確認した.症状は進行性の四肢麻痺が7名,対麻痺3名,尿失禁1名,頚部痛3名であった.なぜかわからないが,圧迫部位はC2-C3が圧倒的に多かった.治療としては,13名中11名で椎弓切除術とneurofibromaの部分切除を行い,術後平均28ヶ月の経過観察を行った.2例で腫瘍再成長に伴う再手術を要したが,大半の症例では手術により神経症状が回復し,症状が悪化するということはなかった.神経画像所見による圧迫の程度と臨床症状は必ずしもパラレルではなく,画像よりも神経所見が手術のタイミングの決定に重要と考えられた.
もしNF1の患者さんの経過観察中に四肢の筋力低下が出現したら,上位頚髄を左右から圧迫するような病変がないか確認してほしい.この病変に気がつけば,続発する四肢麻痺や呼吸不全の合併を防ぐことが可能となる.
JNNP 78; 1404-1406, 2007
神経線維腫1型と30歳過ぎた時に告げられました。ペット検査を薦められました 初めてペット検査するから不安です