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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

なぜ株価がああがるのか・・・操作される市場

2012-02-19 11:07:00 | 時事/金融危機
 

■ 楽観ムードが広がっています ■

日銀のインフレターゲット発言と、10兆円の追加緩和を受けて
日経平均株価が上昇しています。
円安がそれを後押ししています。

アメリカでも、FRBが2%のインフレターゲットに言及し、
経済指標が上向いたとして、ダウ平均が上昇しています。

世界は20日のEU蔵相会談でギリシャの第二次支援に目処が付くと楽観しています。

年末のギリシャ危機以来萎縮していた市場は、
少しでも明るい情報に飢えています。
穴倉にじっと潜んでいた投資家達に、
中央銀行とマスコミが「コマセ」を撒いています。

■ 典型的な市場操作 ■

3月決算に向けた景気回復の演出なのは明確です。
銀行や生保が保有している株価の含み損が決算に影響を与えない為の
この時期の金融緩和と株の買い上げです。

市場関係者も、個人投資家もバカではありません。
決算シーズンを過ぎるまでは、安心して買える環境にあると判断しているのでしょう。
この際に損を取り返しておきたいと思うのは人間として自然な感情です。

一方で金属先物市場は下落していますし、
バルチック海運指数の記録的な低水準ですから、
景気の先行きには赤信号が点灯しています。

ですから、決算期を乗り切ったら、
市場は売り一色になる可能性があります。
問題はどこで売りが仕掛けられるかです。

情報を持つ人達は安全に売り抜けるでしょうが、
多くの個人投資家達が逃げ遅れる事になるのでしょう。

■ ギリシャはデフォルトのテクニカルな調整に入った? ■

ドイツ、オランダ、フィンランドといったユーロの黒字国が、
最近ギリシャに冷淡です。

ギリシャ政府が緊縮政策を確実に実行する確信が持てなければ
第二次支援は行えないという意思を表明しています。

ギリシャの寄せ集め内閣では、計画実行が危ぶまれれるので、
総選挙の結果を見てから融資を決めるなどという揺さぶりも掛けています。
イタリアの様な実務的な内閣への変更を要求しているのでしょう。

一方でECBが保有するギリシャ国債を、
新規に発行する額面と利率、償還期限が同等の国債に借り替える案が浮上しています。

「ECBのギリシャ債交換、他の債権者を「劣後化」-CDS決済の可能性」
(ブルームバーグ 2012.02.18)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZJ67Q0YHQ0X01.html

どうやら、ECBに新規に発行するギリシャ国債は
ギリシャ政府が「強制的債務再編」(「集団行動条項(CAC)」)に踏み切っても
その影響外にある様です。

各国中央銀行が所有するギリシャ国債も、
同様に新規国債に交換出来るか、
各国中央銀行がギリシャ政府と交渉する情報もあります。

これでは民間の所有するギリシャ国債のリスクが高くなってしまいます。
ECBのこの発表は、民間銀行の債権の一部放棄をさらに難しくし、
ギリシャをデフォルトの淵に押しやってしまいます。
全く、EUは何を考えているのでしょうか?

ところでこの記事はどう解釈すれば良いのでしょうか?

「ギリシャ債のCDS残高、1年前から減少-米証券保管振替機関」(ブルームバーグ2.16)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZI85A07SXKX01.html

<引用開始>

 2月16日(ブルームバーグ):米証券保管振替機関(DTCC)によると、ギリシャ債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の残高は正味の想定元本32億ドル(約2500億円)を対象とする4183枚となっている。

  DTCCによると、残高は1年前の56億ドル対象の4713枚からは減少しており、年初来ではほぼ横ばい。

  ギリシャ債1000万ドル相当を5年間保証するコストは前払い分690万ドルと年間10万ドル。これは、この間にデフォルト(債務不履行)する確率が90%であることを示唆している

<引用終わり>

32億ドルとは2600億円程度でしょうか?
ギリシャ国債の発行残高27兆円の4倍、
100兆円近くのCDSが発行されていると報道されていました。

<引用開始>

東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏が言う。
「ギリシャ国債の発行残高は3500億ドル(約27兆円)ほどです。しかし、これに対するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は、その4倍になるとみられている。多くの金融機関が、ギリシャ国債の購入に際し、総額100兆円超の保険を掛けてリスクヘッジしているわけです。つまり、ギリシャの債務不履行で問題となるのは、表に出ている数字の4倍ということになる。その支払いを迫られる金融機関は甚大な打撃を受けます。

<引用終わり>

何だかキツネにつままれた様な話です。
2600億円のCDSとは、米国銀行が発行したCDSの額なのでしょうか?

ギリシャをデフォルトさせるのでしょうか?
CDSイベントが発動しても、ECBが所有する分をデフォルトとしない事で、
危機を乗り切れるというテクニカルな判断が確立したのでしょうか?

ギリシャ危機の目的が「金融危機による財政統合」にあるならば、
このままギリシャが救済されてしまえば、目的は達成されません。

ギリシャ問題はもう一波乱、二波乱を見込んだ方が良さそうです。
EUの国民達が震え上がって、「財政統合止む無し」という所まで追い込んでゆくのでしょう。

欧州はまだ危機が足りないのです。


■ 現在の回復基調など一瞬で吹っ飛ぶ ■

ギリシャでは20日の結果如何では、再び大規模ばデモが発生するでしょう。
焼き討ちされる商店や銀行の映像が再び世界を駆け巡るかも知れません。

その時、ダウ平均や日経平均は現在の水準を維持できるでしょか?
いくら作られた相場とは言え、そこまで鈍感にはなれないはずです。

しかし、ギリシャ危機に関しては、私達は欧州に翻弄されています。
これはあまり気持ちの良いものではありません。
ストレスが溜まります。

20日のEU蔵相会議の結果で、
世界は協調しているのか、対立しているのかが分かりそうな気もします。

ギリシャ問題が先送りされ、
欧州を回避した資金がアメリカに向かうという筋書きも否定できません。

全ては市場を支配する勢力の筋書きに書かれた事であり、
こんなイカサマなシステムで辛うじてバランスする世界は、
いつか、手痛いしっぺ返しを食らうのでしょう。

エンタテーメントとしてのアニメ・・「コードギアス」と「ギルティークラウン」の埋めがたい差

2012-02-18 07:24:00 | アニメ





■ 「ギルティクラウン」は何故つまらないのか? ■

今期のアニメ「ギルティクラウン」は残念な作品です。

「戦いに巻き込まれて当惑しながらも、人間として成長する」物語は、
ガンダムを初めとしてアニメにおける「ビルディング・ストーリー」(成長物語)の基本です。
「ギルティークラウン」の主人公の戦いも、「事件に巻き込まれた」事で始まります。

東京で発生した謎のウィルス「アポカリスク」は人を結晶化させます。
日本は存亡の危機に陥りますが、アメリカ軍を中心とする超国家組織GHQの支援の元、
どうにか国家を維持しています。

一方、治安維持や感染拡大を防止する為に、人命を軽く扱うGHQに反抗する勢力もあります。
それが「葬儀社」と呼ばれるグループです。
「葬儀社」はGHQからある物を盗み出します。
それは、人の心の内面を物質化するゲノム兵器「ヴォイド」です。

人との交わりを苦手と感じている高校生の「桜満 集」(おうま しゅう)は、
「ヴォイド」を奪って逃走途中に負傷した少女、「楪 いのり」(ゆずりは いのり)を助けます。
「葬儀社」のリーダーである「恙神 涯」(つつがみ がい)は、
「ヴォイド」の力でGHQに対抗しようとしたのです。
ところが、「ヴォイド」の力は、一介の高校生である「集」に宿ってしまいます。
「戦う目的」を持たない「集」は当惑します。
しかし「いのり」を守りたい一心で「集」は葬儀社のメンバーとなり、戦いを選択します。

ここまでの流れは、「ボーイ・ミーツ・ガール」と
「巻き込まれ型主人公」の基本に忠実です。

ところが、どうも「集」が全く煮え切らない。
彼の世界は「僕と彼女」の関係の外へは広がりません。
「葬儀社」のメンバーとの間に厚い信頼も無く
いつまでたっても「物語の中心」になれないのです。

「集」は確かにGHQの暴力に怒りを覚えます。
しかしそれは、行動の動機に発展する事はありません。

「ヴォイド」の力は友人の本心を知る事にも役立ちますが、
それによって「集」と友人の距離はむしろ広がってしまいます。
人間が他人に見せない本心を知ることになるからです。

そんないつまでも物語の隅っこで佇む主人公が、
実は物語の中心である事が1クール目のラストに判明します。
・・・それで主人公が変わったかと言われれば??です。

2クール目は舞台を学園内に限定して描かれます。
アポカリスウィルスの拡散を防ぐ為、東京の中心部は封鎖されます。
「集」の学校も封鎖地域にあり、家に返れない学生たちは、
学校に集まって生活する事になります。
葬儀社のメンバーである少女二人も学校に潜り込みます。

ここに至って初めて話が躍動し始めます。
これまでひたすら序章を演奏していた楽曲が、
初めて主題を奏でだしたといった感じです。

この変化は「ヴォイド」の能力の変化によってもたらされます。
本来「ヴォイド」を取り出された人は、その間の記憶を失います。
ところが、「ヴォイド」を人々が自ら認識し、さらに自ら使える様になったのです。
これは、人が自分の心と向き合う事を意味します。

この変化によって、「集」と人々との間に新たな関係性が成立します。
「集」は人々の潜在的欲求の解放者として感謝される存在となるのです。
そして、「集」は生徒会長とし初めて自主的な行動を取るようになります。

やはり学生が主人公のアニメは、子供達の生活が描けなければ話はドライブしません。
葬儀社のメンバーも、年齢相応の「学園」において初めてイキイキとしてきます。

ところが、その「学園」生活は一瞬にして崩壊します。
幼馴染が命を落とした事で「集」は独裁者の道を選択するのです。
「学園」は「楽園」から「監獄」に変化してしまいます。
せっかくストーリーに生まれていた明るいトーンは、
一瞬にして暗転してしまいます。
そして、今週は決定的な裏切りと決別が訪れます・・・。

■ 人は何故アニメを見るのか ■

攻殻機動隊の押井守の事務所プロダクションI.Gのオリジナルとして
期待の高かった作品ですが、ネットでも批判的な意見がほとんどです。

キャラクターデザインはredjuice(れっどじゅうす)が担当し、
クオリティーは相当なレベルです。
なのに人気が無いのは何故なのか・・・。

それは、登場人物に感情移入出来ない事に原因がありそうです。

人は何故アニメを見るのかと言えば、その主な理由は「現実逃避」です。
アニメの主なターゲットは高校生以下の子供です。
彼らの多くは内向的です。

昔のアニメの主人公は「ガキ大将」でしたが、
現代のアニメの主人公は「内向的なイジメラレッ子」がほとんどです。
そんな冴えない主人公が思いがけず異能の力を手にしたり、
あるいは異能の力を持つ女の子が天から降ってきて、
これまでの生活が一変し、イジイジした自分から解放される・・。
これが現代アニメや漫画の王道ストーリーです。

この傾向はガンダムから始まり、エヴァンゲリオンでジャンルとして確立します。
ただ一般のアニメが子供達の安直な願望を映像化するのに対して、
エヴァンゲリオンは、それでもオマエラは弱虫だと言い放って終わるので、
凡百のアニメとは違う地平にそびえています。

「ギルティクラウン」を子供達が拒絶するのは、
主人公が能力の使用に「納得」していないからではないでしょうか。
「いのり」を守る為に「力」は欲しいけれど、
人の心を盗み見るような「ヴォイド」の力には負い目を感じている。
だから「力の使用による解放感」が得られないのです。

■ アニメとカタロシス ■

この傾向は、プロダクションI.Gの作品に共通したものかも知れません。
押井守の「スカイ・クロラ」もそうですが、「救い」が用意されていないのです。

文学作品には「救いの無い」名作が数々存在します。
「圧倒的な負の感情」は人に救済を与えると言います。
「カタロシス」という言葉の語源はギリシャ語で「下痢」です。
アリストテレスは「悲劇」の効用として、「カタロシス」を挙げています。
「抑圧された心が解放される」快感を「下痢」になぞらえたのです。

アニメというジャンルを見渡した時、
圧倒的バットエンドによってカタロシスを得るような作品はほとんどありません。
破壊的悲劇の後にも、必ず救済が用意されています。

そう思って検索したら、こんなページを見つけました。

「バッドエンド・アニメ一覧 」
http://www.anime-index.com/news/badend.php

AMON デビルマン黙示録
機動戦士Ζガンダム
伝説巨神イデオン
フランダースの犬
ぼくらの
火垂るの墓
School Days

「デビルマン」の原作は衝撃的でした。
永井豪はバットエンドによるカタロシスの代表作家かも知れません。

「Zガンダム」も主人公が発狂して終わるというショッキングな作品ですが、
あれは制作サイドの圧力に反発する冨野監督の嫌がらせとも言えます。

「イデオン」は宇宙規模の皆殺しが慣行されます。
但し、その直後に宇宙規模の救済が行われます。
(この作品は、日本アニメの金字塔でしょう。監督は冨野です)

「フランダースの犬」は元が文学ですが、カタロシス効果で目から涙が止まりません。

「ぼくらの」も救いの無い話ですが、最終話で視聴者は救いを得ます。
これは近年のバッドエンドの最高傑作かもしれません。

「火垂の墓」は、実は見た事がありません。
TV放映はいつも見逃してしまいます。
でも劇場予告ではずい分泣かせていただきました。

「Sochool Days」は放送中止になった伝説的なバットエンドアニメですね。
見ていないので・・・。

ここに「エヴァンゲリオン」を加えても良さそうです。
「さらば宇宙戦艦ヤマト」も皆殺しアニメでした。

話が大分本筋から外れてしまいましたが、
「ギルティクラウン」が一発大逆転を狙うとすれば、
「凄惨なバットエンドがカタロシスに昇華する」作戦しか無いように思われます。


■ 「コードギアス」は「ギルティークラウン」の対極にある ■

ここまで読まれた方の多くは、(ここまで読んだ人は少ないって?)
冒頭の画像が「ギルテシクラウン」だと思われた方が多いと思います。

実は冒頭の画像は「コードギアス」という数年前の作品です。
「コードギアス」は予想を裏切って大ヒットしたアニメです。

皇暦2009年 日本は大帝国ブリタニア皇国の植民地と化しています。
日本は国名すら奪われ、首都の中心部はブリタニア国民の居住地となっています。
アッシュフォード学園に通うルルーシュはブリタニア国王の子供ですが、
その事実を隠して、目の見えない妹ナナリーと普通の学生生活を送っています。

ところがある日、レジスタンスが強奪した「ある物」と遭遇します。
その「ある物」とは緑の髪の美しい美少女。
彼女はルルーシュにある力を与えます。
それはルルーシュの目を見た状態で、彼に命じられると、強力な催眠に掛かる力です。
これが「ギアス」の力です。

ルルーシュはこの絶大な力を用いて復讐を誓います。
母を殺し、極東の島国に自分たち兄弟を放逐した、王族達に対する復讐を。

ただ「ギアス」には能力の制限があります。
それは一人の人物には、一回しか有効でない事です。

ルルーシュは頭脳明晰です。
状況と人物に応じて、最適の暗示を相手に与え、
レジスタンスの覆面のリーダー「ゼロ」としてブリタニアに反旗を翻します。

■ 政治的な匂いがプンプンするのに、学園ドラマとしても魅力的 ■


「コードギアス」は制作サイドの予想を裏切り大ヒットします。

一回しか有効でない「ギアス」をどう使うか、知的スリルに溢れた作品であり、
「復讐劇」という強い柱を持った作品であり、
登場人物の一人一人が敵を含め、非常に魅力的な作品であり、
アメリカ一極支配の世界構造を強烈に風刺した作品であるからです。

そして何よりも学園ドラマとして楽しい作品でした。
ルルーシュは学園では「ゼロ」であり「ブリタニアの王子」である事を隠しています。
学園はルルーシュと妹ナナリーの安息の地なのです。

ところが、クラスメイトの女子はなんとレジスタンスのメンバーです。
さらには、日本人でありながらブリタニア軍に所属する友人までが転校してきます。

ルルーシュと美少女レジスタンスと幼馴染の少年は、
それぞれ正体を隠して送る学園生活は見ていてスリル満点です。

■ エンタテーメントに徹して成功した ■

「ギルティークラウン」と「コードギアス」は良く似た構造を持ちながら、
視聴者に与える印象は180度異なります。

「コードギアス」はとにかくエンタンテーメントに徹しています。

監督の谷口悟朗は高橋良輔の弟子です。
高橋良輔は「太陽の牙だグラム」や「装甲騎兵ボトムズ」をで知られるように
政治色が非常に強い作風で知られています。

近作の「ガサラキ」では、アメリカに対抗するため、
「アメリカ国債の売り浴びせ」まで作中で行ってみせます。
TVはアメリカに従順ですが、アニメは例外の様です。
これは共産党支配の旧東側陣営で、SFが体制批判の隠れ蓑に使われた事に似ています。

「コードギアス」は「ガサラキ」へのオマージュの様な作品で、
エンタテーメントの仮面の下に「ガッチガッチの反米感情」を隠しています。

ところが、そんな政治的な内容までも徹底的にエンタテーメントに昇華させています。
だからネットにはこんな素晴らしいパロディーまで生まれています。







人間の「負」の側面を鬱々と描き続ける「ギルティクラウン」が支持を得られず、
「負」をエンタテーメント化した「コードギアス」が支持される所に、
若者の支持を得るための政治の手法のヒントが隠されているのかも知れません。

「船中八策」・・・ロスチャの鉄砲玉、「坂本竜馬」

2012-02-17 11:12:00 | 時事/金融危機
 


■ 橋本大阪市長が掲げる「船中八策」は正しい?! ■

橋本大阪市長の掲げる「船中八策」なるものが話題になっています。

詳しい記事見つからなかったので、
こちらから引用します。

「赤影HDの社長ブログ」
http://presidentakakage.hida-ch.com/e415531.html

<引用開始>

大阪維新の会の橋本大阪市長が船中八策で改革するとか、

内容を書いた記事がネットでみつけられなかったので、テレビで見た記憶のかぎりですが

・首相公選
・参議院廃止
・憲法改正
・地方交付税廃止
・消費増税
・資産課税
・年金掛け捨て
・TPP推進

こんな所でしたでしょうか?

<後略>

また、福祉政策に関しては、もう少し詳しく載っています。

「赤影HDの社長ブログ」
http://presidentakakage.hida-ch.com/e416323.html

<引用開始>

年金の要点は

・年金の積み立て方式への移行は最低ライン
・掛け捨て方式までいけるかどうかが焦点
・資産もちには年金なし、資産なしには年金あり
・資産の有無は問わず、年金は20歳から強制加入
・自由な経済活動は容認するが、所得再分配はかなり厳しくしっかりやる
・アメリカみたいな格差社会では社会は安定しない
・単年度の所得再分配ではなく、数十年単位での所得再分配
・資産課税で貯めてたら税金が取られる
・年金デビットカードで、使い残しは没収
・年金額は月6万円程度ではなく、生活できる金額に
・国民皆確定申告制で、消費した分には税金をかけない
・国民総背番号制で個人の所得と資産を全部管理する

つまり、年金ではなく、老後最低保障保護制度
と言う方が理解しやすく
20歳になったら、老後最低保障保険に強制加入すると言うイメージで

人生うまくいったら支給対象からはずれますよと言うイメージ

世代間扶養ではなく、同世代間保険と言う事です

(後略)

<引用終わり>

所論いろいろおありでしょうが、
私には、「老人の利益」や「ばら撒きによる人気集め」にばかりが横行する中にあって、
結構真剣に将来の日本を考えた内容となっていると思われます。

特に、「国民に負担」を求めている事に真剣さを感じます。

■ 「構造改革なくして景気回復なし」と似た雰囲気・・・ ■

一つ気になるのは、橋本市長が大化けした事。

かつて「郵政民営化」をひたすら唱えて首相にまでなった人物がいます。
何度かの総裁選に泡沫候補として立候補し、
「郵政民営化」だけを唱え続けた人物が、
「構造改革」を口にした瞬間に、大ブレークして首相になってしまいました。

私は橋本氏は、「大阪府政と市政には無駄が多い」という事を
「公務員の無駄」に絡めて人気を得たと思っています。

現在世間の目は「官僚」や「公務員」にとても厳しいものがあります。
だから、小泉氏が「抵抗勢力」として旧田中派を陥れた様に、
橋本氏が「官僚=日本の癌」と明確に敵視した事が
彼の人気をこれほどまでに高めたのだと思います。

マスコミまで含めた「橋本人気」の裏にあるものを見つめれば、
現在何が起きようとしているかた良く分かります。

■ 「官僚機構」というファイヤーウォール ■

私は日本の官僚機構は優れた「ファイヤーウォール」だと考えています。

自民党時代、田中派を中心とする吉田茂の弟子達は、
アメリカのあしらい方良くを心得ていました。
アメリカの要求を呑む変わりに、日本の利益を適当に引き出していました。

一方で官僚機構は、自民党が承諾したアメリカの要求を上手に無力化し、
日本の国益を守っていました。

この構造が変化したのは「小泉改革」と
「ノーパンしゃぶしゃぶ」からだと言われています。

小泉改革は「国民の高い支持率」と「政治主導」によって
「官僚によるコントロール」を無力化しました。
マスコミも同調する事によって、
国民の声を装って、数々の改革が実行されました。
尤も小泉氏は「破壊者」だったので、旧来のシステムを壊すだけで、
新しい有効なシステムを産む事はありませんでした。

「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件によってパージされたのは大蔵官僚です。
彼らは予算編成権と金融監督という巨大な権利を有していました。
大蔵省に逆らっては何も出来ないのが、日本の中央政界でした。

アメリカは日本の戦後復興期に日本に投資し日本を育てましたが、
いざ収穫しようとすると大蔵省が盾となって、なかなか事が上手く運びません。
現在の米中関係が、当時の日中関係だったと思えば分かり易いでしょう。

■ 郵政民営化は大蔵省の悲願 ■

そこでアメリカは大蔵省(と通産省)を潰しに掛かります。
そして「ノーパンしゃぶしゃぶ」というあまりにも恥ずかしいトラップで、
大蔵省を「財務省」と「金融庁」に分割します。

本来「郵政民営化」は「大蔵省」悲願でした。
大蔵省の監督が及ばない「郵政省傘下」の郵便局は日本最大の金融機関で、
銀行などを監督する大蔵省にとって、不愉快な存在でした。

さらに、「財政投融資」という巨大な財布でもある郵便局を、
大蔵省は民営化によって自分の傘下に収めようとしたのです。
そこで「大蔵族」の小泉純一郎を「郵政民営化」の急先鋒に仕立て上げます。
だから小泉純一郎は自民党総裁選で泡沫候補として郵政民営化を主張し続けます。

■ 乗っ取られた「郵政民営化」を取り返す ■

ところが、「郵政民営化」は「構造改革」と名を換え、
知らぬまに小泉純一郎に乗っ取られてしまいます。

構造改革が壊したものは、大蔵省の権益でした。
民営化後の「ゆうちょ銀行」は、外資の餌食となる様に仕組まれていました。

ところが、小泉引退後、郵政民営化には大きなブレーキが掛けられます。
社長も三井銀行出身のの西川氏から、大蔵省OBの斎藤氏に変わります。
この交代には、自民党から民主党という政権交代が大きく働いています。

この斉藤氏こそ、「ノーパンしゃぶしゃぶ」でアメリカにパージされた人物です。

■ アメリカで勢力交代が起きていた ■

ここで、ちょっと面白いのは、郵政利権に手を突っ込んで来たアメリカの銀行です。

郵貯は元々シテイバンクとATMを共有するなど、
郵政民営化に際しても、ロックフェラー系の餌食となるはずでした。

ところが、結局郵貯利権に取りついた銀行はメリルリンチとゴールドマンです。
アメリカでは小泉政権以降、支配構造の変化が起きていたと推測されます。

本来、デビット・ロックフェラーの利権であった郵政利権が、
ロスチャ系のジョン。ロックフェラーの手に移っています。
そうして、三井銀行はロスチャ系の銀行です。

小泉元首相の退陣は潔さが漂いましたが、
政界に影響を残さなかったのでは無く、
ロスチャ陣営によって、政界から追放されたと見る事も出来ます。

小沢一郎 - 斉藤次郎氏 の裏で糸を引くのはロスチャ陣営でしょう。

■ 日本の政治家の台頭の影に、アメリカやロスチャの思惑 ■

小泉氏の急躍進の裏には、アメリカの支配者の影響がありました。
同様に、一介のタレント弁護士であった橋本氏の躍進の裏にも
海外の支配者の影響を疑ってしまうのは、陰謀論に毒され過ぎているでしょうか?

さて改めて「船中八策」を眺めてみます。

実は、「首相直接選挙」や「参議院の廃止」など、
実現までに時間を要する、云わば「どうでも良い政策」のオンパレードです。
確かに、「改革」を意識させませすが、実現性に乏しいのです。

一方、国民が橋本氏に期待するのは「公務員への鉄槌」です。
こちらは、ほぼ全ての国民の支持が得られそうなので、
「公務員改革」と「官僚機構の解体」は優先課題として断行されそうです。

するとどうでしょう、日本のファイヤーウォールが消失してしまいます。
後は、ウィルスのやりたい放題の状況が発生します。

耳障りの良い政策を掲げて、
その実、日本の利益を削ぐような法案が簡単に国会を通過してしまうのです。

■ いつも読めない小沢氏 ■

私は橋本氏などは、鉄砲玉だと思っています。
官僚機構を粉砕したら、彼は用済みです。

一方で、小沢氏はいつも読めません。
ロスチャとは仲良しですが、
いつも政局を混乱させて、日本の改革(改悪)には水を差します。

結局、小沢氏は吉田茂譲りの伝統的な日本の政治家なのでしょう。
利用できるものはロスチャでも、中国でも、
マイケル・ジョナサン・グリーンとでも手を組む。

アメリカの延命が求められれば、ゆうちょ銀行の投資先を
日本国債から米国債にシフトする事も平気。

でも、どうも彼らの思惑通りには事が運ばない・・・。
マスコミもアメリカの意に沿う事を盛大に書き立てますが、
結局は日本はどっちつかずで、フラフラしている。

景気も、回復する機会をあえて潰しながら、
その実、何故か円高を維持している。

とにかく国民にも分かり辛いが、
外人にはもっと分からないのが日本。

一つだけ言える事は、日本は内向きになる事で、
来るべき世界恐慌のリスクを極小化しようとしている様に思える事。

積極的海外投資はリスクと背中合わせです。
危機が発生して、円安に振れればドル建て商品は儲かる様に思えます。

しかし、投資した商品自体が価値を失ってしまえば、
為替差益など取るに足らないものとなってしまいます。
それどころか、ドルが紙くずになるリスクだって無視できません。

橋本改革は「魅力的」に見えますが、
やり方を誤ると、日本の利益を失いそうに思えるのは私だけでしょうか?
橋本氏は、本人も知らぬ間に悪魔に魅入られてしまったのかも知れません。

そう言えば、橋本氏が自分をなぞらえる坂本竜馬は、
幕末におけるロスチャイルドの鉄砲玉でした・・・。

ロスチャがフランス一派とイギリス一派で反目しているという噂もあります。
例によって情報攪乱の煙幕でしか無いのでしょうが・・・。

「悪いイルミナティー」VS「それ程悪く無いイルミナティー」とか、
「悪魔の様なロスチャ」VS「良識的なロスチャ」という対立構造は、
陰謀論者のロマンティシズムを掻き立てます。


2005年は日本の第三に敗戦だったのかも知れない・・・「耐震偽装」と「ライブドア」

2012-02-16 03:10:00 | 時事/金融危機
 


■ 建築業界からは5年後の世界が見える ■

私は建築設備関係の設計の仕事をしています。
建築は大型の設備投資なので、
現在設計している物件が完成するのは5年後だったります。
ですから、私達には5年後の景気がだいたい見えています。

私の力の無さにもよるのですが、
現在私が抱える物件のほとんどがアジア物件です。
英語は苦手ですが、メールのほとんどが英語になってしまいました。

ところが、建築業界は現在アジアで受注出来ません。
韓国の現代建築や中国の建築会社が技術力を付けてきており、
破格の価格で受注してしまうので、
日本のゼネコンは価格で太刀打ちできないのです。
製造業と同様に、日本のコスト体質では、建築業も負けるのです。

私の記事の内容が、日本の将来に悲観的になるのは、
そんな職業上の事情にもよるのかも知れません。

■ 2003年から2005年は建築のミニバブルが発生した ■



(日本政策投資銀行 今月のトピックスNo.120より)



(日本政策投資銀行 今月のトピックスNo.120より)


建築業界にいる私達の目から見て2005年はターニングポイントでした。
2003年頃から都心を中心にマンションの建設ラッシュが起こり、
「都心回帰」を合言葉に湾岸地域を中心に高層マンションの建設がブームとなり、
それが近郊駅前などに波及していました。

折しも、日銀は金融緩和を続けており、
潤沢な資金がデベロッパーに流れ込んでいました。

又、コストの安い「円」を調達した海外の投資ファンドが、
日本のデベロッパーに資金を大量に貸し付けていました。

2003年から2005年はマンション建築のミニバブルが訪れていました。
業界では「バブル」を警戒しながらも、ささやかな活況に浮かれていました。

■ 2005年の「耐震強度偽装事件」によって潰されたミニバブル ■

ところが、2005年10月に「耐震強度偽装事件」が発覚します。
イーホームズの藤田東吾氏の告発によって
一部の業者が開発するマンションやホテルの耐震強度が不足していいる事が発覚します。

これは世間を騒がす大問題に発展し、
既に入居が完了しているマンションを建て替える様な事態まで発生します。

この事件をきっかけに、建築確認申請が厳格化され、
当時計画されていた建築のほとんどが、
半年間認可が下りないという異常事態が発生しました。

結果的に「建築のミニバブル」は見事にはじけ飛びました。
それは上のグラフに端的に表れています。
2003年ごろから上向いていた住宅(マンション)の供給量は
2005年をピークにして下降しています。

建築分野は裾野の広い分野です。
材料や資材まで含めると、雇用に与える影響は小さくはありません。
ですから、建築業に投下された資金は、社会を潤します。

住宅建築が景気を先導する事は、
アメリカや中国の住宅バブルを見ても明らかです。
ですから「耐震強度偽装事件」が発覚していなければ、
日本の経済はあるいは回復軌道に載っていたのかも知れません。

■ 2006年のライブドア事件が株式のミニバブルを潰した ■



上のグラフは日経平均の推移を表しています。
バブル崩壊で下落した株価は、2003年頃から持ち直します。

これも日銀の緩和資金が流入した為です。
ライブドアーやソフトバンク、楽天などのIT関連株のブームが起こります。
ところが、2006年に「ライブドア事件」や「村上ファンド事件」が起こり
日経平均は急落します。

株式市場の上昇は経済を牽引します。
確かにこの時期の株価上昇は「過剰流動性」によるバブル相場とも言えますが、
その影響で、景気の回復の兆しが見えていた事も確かです。

この時期、円キャリートレードによる円安で、
輸出企業は空前の好景気が続いていました。
日本経済は現在言われていう様な「失われた20年」では無く、
回復の息吹を確かに感じていた時期があるのです。

■ 2005年、2006年が日本の第三の敗戦では無いか ■

「耐震強度偽装」は確かに許されざる行為です。
しかし、建築業界のコストダウンへの圧力は強く、
起こるべきして起こった事件とも言えます。
折しも、中国の建設ラッシュで鉄筋などの資材が値上がりしており、
鉄筋を減らしてコストを削減したなどという建物は潜在的には沢山ありそうです。

本来なら発覚しそうも無い事件が、内部告発で発覚した事に
「耐震強度偽装事件」の不可解さがあります。
そして、ひとしきり景気に水を差した後、
抜本的な解決もされないまま、何人かの犠牲者を出して事件は収束します。

「ライブドア事件」や「村上ファンド事件」も不可解です。
堀江被告が問われた罪は、本来なら微罪です。
それを、悪名高き「東京地検特捜部」が社会問題に仕立て上げました。

これらの事件の影響を考えた時、
その裏に働いていた「意思」を勘ぐらずにはいられません。

時期を同じくしてアメリカは「住宅バブル」に浮かれていました。
低金利の円が大量にエンキャリートレードで流入し、
サブプライム層という本来住宅を取得出来ない人達にも
ローンを融資するという異常な状況が発生していました。

しかし、もし日本の景気が上向けば、日銀は低金利政策を修正します。
それは、日本からの潤沢な資金で支えられていたアメリカの住宅バブルの終焉を招きます。
実際に、2007年のサブプライムショックの原因は
日銀に金利引き上げにあったと言われています。

私は「耐震強度偽装事件」と「ライブドア、村上ファンド事件」は、
日本の第三の敗戦では無いかと考えています。
但し、撤退戦の反抗作戦における敗戦といった程度でしょうか?

■ 萎縮した日本経済は、アメリカの財布となった ■

当時日銀の量的緩和の規模は35兆円であり、
これは明らかに効果を上げていました。

ところが二つの事件で日本経済は完全に萎縮します。
貯蓄志向が高まり、デフレが深刻化します。

企業収益は落ち込み、若者がリストラされる一方で、
年金を通して、資産が高齢者に集まるシステムが恒常化します。

老人達の預金は、日本国債を買い支えると同時に、
怪しい投資ファンドによって、アメリカのモゲージ債などに投資されます。
銀行なども、日本国内に資金需要が無いので海外に投資します。

円安で潤っていた輸出企業の株主は外国人に取って変わられていました。
彼らは、人件費の増額を拒み、設備投資を控え、
内部保留を膨らめました。
内部保留は運用益を求めて金融市場に投資されました。

こうして、第三の敗戦を味わう日本は、骨の髄までしゃぶられました。
そして、リーマンショックが発生します。

・・・現在の日本は骨と皮ばかりになりましたが、
増税によって、豚骨スープさながら、エキスまで吸い取られつつあります・・・。

インフレターゲット・・・エンジンの壊れた車のウィンカー

2012-02-15 05:04:00 | 時事/金融危機
 

■ 日銀1%のインフレターゲットに言及 ■

日銀は10兆円の追加緩和政策を発表しました。
その中で、「1%のインフレターゲット」と思しき発言をしています。
日銀に先立ってFRBのバーナンキ議長も
「2%のインフレターゲット」を明言しています。

FRBは兼ねてからインフレ率2%を目標として金利操作をしていたので、
今更インフレターゲットと言ってもインパクトはありません。

日銀は「2%以下で適正なインフレ率」的な表現をしていましたので、
1%と明言した事は、従来よりも一歩踏み込んだ形となります。


■ 非伝統的手法による緩和政策 ■

インフレターゲットに関しては、リフレ論者が兼ねてより要求していた事です。
ですから、今回の日銀の発言は、おとなしかったリフレ論を活気付かせるでしょう。

問題は1%のインフレ率の中身です。

日銀はとりあえず10兆円の緩和策を発表しました。

1) 本来インフレ率は金利政策でコントロールされる
2) 資金需要が無く、金利ゼロに近い現在金利操作は不可能
3) 日銀が市場から長期国債を買い入れて10兆円を資金供給

4) 既に日銀は55兆円の緩和策を実施中
5) 現行の緩和策は株や不動産まで買い上げる世界で類を見ない積極策

実は日銀の緩和策は、既にFRBの1周先を走っていました。
55兆円規模で、株ETFや不動産REITを買い上げるという
世界でも類を見ない(むちゃくちゃな)緩和政策です。

今回の10兆円を含めた日銀の買い取り資産の内訳は以下の通りだそうです。

長期国債19兆円(本年1月末現在の買入れ3.5兆円、以下同じ)、
国庫短期証券4.5兆円(2.3兆円)、
CP・2.1兆円(1.7兆円)、
社債2.9兆円(1.7兆円)、
ETF・1.4兆円(8479億円)、
REIT・1100億円(660億円)、
共通担保資金供給35兆円(32.8兆円)

合計が65兆円(43兆円)

それでも景気は回復しないし、インフレどころか日本はデフレです。



■ 長期国債を中心に買いあげる ■ 

今回の発表で注目すべき点は「長期国債を買い上げる」と発言している点です。

1) 日本の国際は日本の金融機関が安定消化していた
2) 中長期的な国債の不安感から、国内金融機関短期国債にシフトしている
3) 直近では海外勢が短期国債の4割を買っている

4) 短期国債の海外に保有高が高まるとリスクが高まる
5) 国内の金融機関の短期国債購入を高める必要がある
6) 国内金融機関から長期国債を買い上げて、短期国債を買い支えさせる。

7) 長期国債を国内金融機関が手放す傾向で長期金利に上昇圧力が生じている
8) 日銀の長期国債買い入れで長期金利を抑制する

今回の10兆円の緩和政策の狙いはこんな所でしょう。
要は、日本国債の需給環境が悪化しているのです。

■ アメリカのインフレターゲットは上手く働いているのか ■

ところで2%のインフレターゲットを実施しているアメリカはの現状はどうでしょう。

「1月の米小売売上高は予想下回る、自動車を除くベースでは増加」(ロイター02.15)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE81D00N20120214

<引用開始>

[ワシントン 14日 ロイター] 米商務省が発表した1月の小売売上高は前月比0.4%の増と市場予想を下回った。自動車購入が抑えられたことが要因。
ただ自動車などを除くコアの売上高は増加に転じたことから、堅調な景気回復を示す内容となった。

市場予想は0.7%増。前年同月比では5.8%増加した。

12月分は前月比変わらずに下方修正された。考えれれていたほど消費者が年末商戦期に買い物をしていなかったことを示している。

ジョン・トーマス・フィナンシャル(ニューヨーク)のチーフマーケットアナリスト、ウェイン・カフマン氏は「景気が改善しているという事実に疑問を差し挟む材料はない」と分析した。

自動車やガソリン、建材を除くコアの小売売上高は0.7%上昇した。

ガソリンスタンドの売上高は1.4%上昇し、2011年3月以来最大の伸びとなった。電子製品・機器は0.5%増加した。

自動車・部品は1.1%減少。オンラインなどの無店舗小売も1.1%減った。

<引用終わり>

全く情報操作にも程があるあきれた記事です。
この文章を常識的に解釈すれば次の様になります。

1) アメリカの小売業の売上は全く振るわない
2) クリスマス商戦も予想を下回るものだった
3) ガソリンの売る上が高が上昇したのは、ガソリン価格が上昇したから
4) 車など高額な耐久消費財の売上は全然振るわない

さてこれの何処か「堅調な景気回復を示す内容」なのでしょうか?
FRBの金融政策も有効には働いていない様です。

■ アメリカの用いる非伝統的手法 ■

アメリカはQE1、QE2という通貨の大増刷でインフレ率を維持しています。
しかし、その効果は一時的で、QE終了後は経済指標が下振れします。
アメリカが2%のインフレ率を維持する為には、
QEによって、市場を資金でジャブジャブにし続ける必要があります。

一方でドルの大増刷は、ドルや米国債の信認を薄れさせます。
既にアメリカの長期国債は敬遠されており、
FRBも長期金利抑制の為に、長期国債を買い上げるオペレーションを実施しています。

その他にアメリカは「非伝統的手法」を用いています。
それは、「ユーロ攻撃」です。
ムーディーズやS&Pにヨーロッパの格下げをさせて、
資金を米国に還流させています。


そこまでやっても、アメリカの景気は一向に持ち直しません。

■ エンジンの壊れた車 ■

現在の世界は「エンジンの壊れた車」です。

インチキ金融によって、高速でぶん回したエンジンは、
リーマンショックによって、壊れてしまいました。

しかし車は慣性によって、直ぐに止まる事はありません。
各国政府は、ギアーを変えてみたり、ハンドルを切ってみたり、
はたまた、インフレターゲットなどというウィンカーを点滅させますが、
若干、方向や速度に差が出る程度です。

エンジンの壊れた車に、量的緩和でガソリンを注ぎ足しても、
エンジンが壊れていては、意味がありません。
結局は車は、いずれは止まってしまいます。

最後は、クラッチ操作を誤って急停止するか、(ボルガールールやBIS規制)
戦争という下り坂で加速して、コーナーを曲がり切れずに崖から転落するかです。

インフレターゲットで一喜一憂する金融市場は、
明日の利益しか考えていないので、喜んだり悲しんだりできるのです。
中長期的に考えれば、既に勝敗は決しています。

その証拠に金融や保険業界のリストラが激化しています。
来るべき悪化に備えて、業界が身構えている証拠です。

さて、私達を乗せた車は、次のコーナを曲がり切れるでしょうか?