習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『こんにちは、私のお母さん』

2022-01-13 11:21:25 | 映画
こんな映画が公開されている。これは昨年中国でナンバーワンヒットを記録した作品らしい。なんと900億円の収益をを挙げたという話だ。中国人がみんな見て号泣した国民映画。ベタな映画であろうことは見る前からわかっているけど、実際に見始めて、ここまでやるか、と驚き、あきれる。いくらなんでも、今の時代の映画でこれはないわぁ、と唖然としながら仕方なく、見続ける。もう劇場に入ってしまったのだから、最後まで付き合う . . . 本文を読む
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町田そのこ『星を掬う』

2022-01-13 10:49:29 | その他
これはきついと思った。またまた凄いことをするな、とも。本屋大賞を受賞した前作『52ヘルツのクジラたち』も凄まじかったけど、今回はその比ではないと。だが、それすら甘かったと読みすすめていくうちにわかる。どこまでこの不幸は加速するのか。もう想像もつかない。冗談ではないレベルである。怖すぎて笑えもしない。 最初は『52ヘルツのクジラたち』。これを読んだとき、凄いと思ったが、後半で少し息切れした気がした . . . 本文を読む
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『明け方の若者たち ある夜、彼女は明け方を想う』

2022-01-11 15:34:00 | 映画
これは映画『明け方の若者たち』のスピンオフドラマ。映画の後で作られた45分の中編映画だ。あの映画を補足する。お話はタイトル通りで、北村匠海演じる主人公の彼ではなく、黒島結菜が演じた彼女の視点から描かれる。なぜあの日、彼女は明大前の飲み会に行ったのか。それまでの彼女の事情や、あの映画で描かれたその後の彼女のドラマが描かれる。 彼女目線で描かれる(映画の中で描かれるあの日からの出来事ではなく)あの頃 . . . 本文を読む
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一穂ミチ『パラソルでパラシュート』

2022-01-11 15:22:11 | その他
パラソルなんかをパラシュートにしたら危ないよ、と思う。だから、これはそんな危なっかしい小説なのだ。だけど、そこには「悲壮感」はない。どこか「あっけらかん」としている。ノーテンキというのとは違う。10年間芸人としてやってきて、でも、たいして売れているわけではないし、この先どうなるのかと考えると不安でしかない、はず。でも、彼らはそんなそぶりも見せない。強がっているのではない。今を生きるだけで精一杯なの . . . 本文を読む
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『青葉家のテーブル』

2022-01-11 14:20:21 | 映画
昨年の6月頃公開されていた映画だ。こんなにも地味な映画がTOHO系で上映されるんだ、と思い少し気になっていた作品だった。実際に見てみて驚いた。こんな映画があるのか、と思った。西田尚美と市川実和子主演で、ある家族のお話。ここにはストーリーらしいストーリーはない。いや、あるにはあるのだけど、実はそれ自身はどうでもいい、という感じなのだ。この家族の日常や、生活する雰囲気が最優先される。だからお話のほうは . . . 本文を読む
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伊坂幸太郎『ペッパーズ・ゴースト』

2022-01-09 11:01:19 | その他
久々に伊坂幸太郎の新作を読むことができた。図書館で予約するといつまでたっても順番が回ってこないから、もうあきらめるというのがパターンなのだけど、(まぁ、そこまでして読みたいとは思えないからだけど)今回はうまく読む機会を手にしたので、読み始めた。相変わらずのお話で、楽しいし、この先どうなるのか、気になるから読み始めたら止まらない。ただ、一気に読むには少しボリュームがあるし、疲れるので2時間ずつで3回 . . . 本文を読む
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『ビフォア・アイ・フォール』

2022-01-09 11:01:18 | 映画
繰り返される1日。目覚めるとまた、同じ日が始まる。あの日は特別な日になるはずだった。でも、事故死してしまう。そんな日の朝、起きたときから、死ぬまでが描かれる。しかも何度となく。 この日に死ぬとわかっていたら、その1日をどうするか。なぜか、やり直しは可能だ。(もう何度となくやり直している。)でも、結果を変えることはできない。なぜかこのパターンの映画を最近よく見ているから、またこれか、と思った。この . . . 本文を読む
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斜線堂由紀『愛じゃないならこれは何』

2022-01-09 10:18:04 | その他
これは強烈だわ、と思った。短編連作だけど、ぶれない一貫性を保っている。そして、描かれるものがタイトルそのままのストレートさ。しかも、愛というものの本質に迫ると同時に愛って何なんだという問いかけにもつながる。こういう形があるのか、という驚き。冗談じゃないよ、という恐怖。僕たちがふつうに思うことのかなり上で、お話が展開していくから、最初は笑ってしまった。でも、だんだん笑っている場合ではない気づく。 . . . 本文を読む
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『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

2022-01-08 10:56:46 | 映画
今年劇場で見る1本目の映画だ。『COP CAR コップ・カー』のジョン・ワッツは投げ出すことなく最後までこの3部作を作り切った。いや、それだけではなく、スパーダーマン8作品の総決算としてこの作品を仕上げてしまうという暴挙にでて、見事成功する。想像を超える作品で、新春第1作に相応しい大作映画だった。もうマーベル映画はいいよ、とこのブログで散々書いているくせに、公開初日に駆けつけてしまうって、なんだか . . . 本文を読む
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小手鞠るい『女性失格』

2022-01-07 12:09:23 | その他
パロディではなく本気モードだけど、これではパロディの域を出ないのが残念だ。だいたい『人間」ではなく「女性」にすると世界は狭くなる。そんなことわかったうえで敢えて『女性失格』とした以上、女性でなくてはならないものがもっと明確でなくてはならない。これでは『もうひとつの人間失格』でしかないし、主人公は特別な存在でしかない。女性という普遍性を獲得しない。太宰治の『人間失格』は主人公が男であるのに、『男性失 . . . 本文を読む
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早見和真『笑うマトリョーシカ』

2022-01-07 11:39:55 | その他
年頭ベストテンを作るため調べたら、昨年読んだ小説の7割が女性作家のものだったのには驚いた。そんなことの反動なのか、今年に入ってからは男性作家の小説ばかり読んでいる。と、いってもまだ1月の入って1週間で7冊しか読んでないのだけど。 ミステリ的な展開で、あれよあれよという間に、どんどん読み進むことになる。だから、今日は朝から1日じゅうこの本を読んでいた。400ページを越える作品だけど、ほぼ一気読みし . . . 本文を読む
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『黒部の太陽 完全版』

2022-01-07 10:37:27 | 映画
3時間17分の超大作である。BSPで一挙上映(放送だけど)していたので、見た。途中休憩が2分ほどあるけど、それだけでラストまで休みなしだ。昔の映画だけど、飽きることなく集中して見ることができた。配信ではないからトイレにも行けないし、途中で止められない。そんな状況下で結構緊張して見ることになった。 熊井啓監督作品である。こういう作品を任されて気負うことなく、作ることができたのは凄い。しかも、まだ、 . . . 本文を読む
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『あの日のオルガン』

2022-01-05 09:48:44 | 映画
こういう地味な映画がちゃんと作られるって素敵だ。昔の木下恵介の映画を見ているような気分。心地よい。松竹は今でもこういう良心的な映画を作り続けている、と思ったが、実はそうではない。山田洋次門下の脚本家である平松恵美子監督作品なのに、これは松竹映画ではない。なんと自主制作に近い形で作られているのだ。これは驚きである。映画は2019年2月に公開された。大阪では確か梅田のステーションシティシネマで、ひっそ . . . 本文を読む
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2021年 小説ベストテン 

2022-01-04 12:02:34 | その他
2021年は読みたい本をどんどん読もうという夢にような時間を過ごした。年間277冊の本を読んだ、そのほとんどが小説である。そして基本的に新刊を中心にして読んだ。とても楽しかった。映画や、(ちょっとした)仕事(のようなもの)のない日は読みやすい本なら1日2冊くらいのペースだ。じっくり読みたい本は数日かけて終日読む日を作ったりもした。もうやりたい放題である。 昔、将来の夢は、本を読んでそれが仕事とな . . . 本文を読む
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北原一『ふたり、この夜と息をして』

2022-01-04 11:47:27 | その他
顔に大きな痣があることで、虐められ、学校に行けなくなった少年は、化粧をして隠すことでようやく高校に行けるようになる。クラスメートにばれることを怖れ、教室では存在を隠して、息を潜ませるように生きる。そんな彼が高校2年のある日、夜明け前の新聞配達中、同級生の女の子を見かける。こんな時間に彼女は公園でひとり、煙草を吸っている。これはそんな二人と、その周囲の友人たちのお話。 もう傷つきたくないから、誰と . . . 本文を読む
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