魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

彼の魂を

2013年10月24日 | ワイン ~2019年
ブルゴーニュ地方、サヴィニー・レ・ボーヌ村の「ドメーヌ・シモン・ビーズ」
の当主、パトリック・ビーズさんの突然の訃報を耳にし驚きました。

心筋梗塞らしいのですが、60歳。まだまだ若いです。


なぜこんなことをいきなり書くのかと言いますと、ブルゴーニュワインの愛好家
なら彼が素晴らしい造り手であり、奥様が日本人の千砂さんであることを知って
いるだろうからです。男女の子供にも恵まれ幸せだったことと思います。


来日の際、このご夫妻に会ったことがあり、いろいろと質問した経緯があります。

その時に試飲していただいたサインボトルがこれ。






大事にうちのお店に飾ってあるんですよ。


訃報を聞き、突然彼のワインが飲みたくなりました。

ところがあいにく在庫切れ。
本日はすぐさま輸入元へオーダーしました。


間もなく入荷する予定で、ひっそりと味わおうかと思います。
私なりの追悼です。


この「ドメーヌ・シモン・ビーズ」はたくさんのワインを造ってはいるの
ですが、代表作と言えば地元の「サヴィニー・レ・ボーヌ 1er ヴェルジュ
レス」(上の写真のワイン)でしょう。
単に高いのならば「ラトリシエール・シャンベルタン」の畑を持ってはいま
すが、彼のお父さんの志を受け継いで作っている代表作となれば「ヴェルジュ
レス」をおいて他にないでしょう。(Aux Vergelesses)



ドメーヌ・シモン・ビーズのHPから。

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ビーズといえばヴェルジュレス。荒れ果てた大戦直後のブドウ畑。畑を手放す
地主、農民が続出した。「ちょっとそこまで行ってくる」と自転車にまたがり
出かけたパトリックのパパ。その時実は手元にあった全財産をかかえ、売却に
出ていたヴェルジュレスの畑を3ha購入したのである。もちろんママには内緒
で。男はこれと決断した時に勝負に出るもの。まさにそんな魅力溢れるヴェル
ジュレス。品格、風格、共にサヴィニーいちのワインである。

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こう記してあります。(クリック)

そんなわけで、彼が造った2010年ものをケースでオーダーしました。

複数本持って寝かせて、時々彼を思い出したい、時々飲んでいきたいな。
父から受け継いだ彼の魂をほんの少しだけ持っていたい気になりました。

彼が携わったワインは2012年まででしょうが、2010年は素晴らしい当たり年
なのでこれにしました。長く保つことが出来るでしょうから。


彼のワインが好きだった方はこのヴェルジュレスを持っておくといいかも
しれませんね。

彼亡き後は千砂さんにがんばっていただいて、次世代へとバトンタッチして
いただくことを望んでやみません。


今日はたまたま、安デイリーワインを飲んでおりますが、彼のワインを飲み
たい気持ちがはやるのを抑えることが出来ません。
こうなればパトリックが造ったワインは貴重なので、持っていらっしゃる方は
大切に飲んでいただきたいなと思う次第です。

心を込めて合掌いたします。

やはりワインは人生そのものなのです。



追記:ラリラリピノさんによるワインを描いた曲をリンクしておきます。
葡萄の声(5拍子、クリック)です。
「1・2・3・1・2」「1・2・3・1・2」~~というノリで進行するとのことです。

コメント
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