さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

ジョン・ラスキンの警鐘 「胡麻と百合」1

2011年01月22日 | 英国


 冬の湖水地方を歩いてジョン・ラスキンの碑に出会ったので、彼の著作『胡麻と百合』(1865)を御紹介することにしましょう。これはマンチェスターで行なわれた講演をもとにしたもので、「善良な男女の感化」について語られています。

 時代は19世紀半ばです。ラスキンはまずお隣の国、フランス社会の「道楽への耽溺」を批判します。華やかで贅沢が「退廃」だ、と言うわけです。そして彼の母国である英国社会も、服装は年々華美になり、宴会は益々贅沢になり、消費は莫大なものになってきたと警告するのです。

 経済最優先の金満大消費国家に住む人間として、まるで現在のこの日本のことを言われているような気になってきます。いまだって、不況を脱出して好景気よ、もう一度!ですからねェ。

 ラスキンが言うところ、当時英国の婦人は海外で大変高い評価と名誉を受け、尊敬されていたらしい。それは「慎み、誠実、娘たちの清新な純潔、無邪気さ」などだそうです。それが次第に時代の流行によって野卑で無分別になりつつある、というのです。私は英国に住んでいたとき、何度か日本の女性がまさにそのような美徳にあふれているのではないか、と言われました。「つつましく誠実で賢い女性が多いのだろう?」と。そう言われて、いろいろな人を思いめぐらしました・・・。どう答えればよかったのでしょうね
w(^益^)w

 
一方英国の青年たちについて。世界中で一番多忙な英国人の精神の中に、最も広く行き渡り、一番公然と語られ、青年の努力のために最も適当な刺激として推奨されている観念は、「社会的地位の向上」、すなわち「金儲けと名誉欲」になってしまった、とラスキンは嘆きます。これもまた現代の日本にそのまま当てはまってしまいそうです…。いい大学に入っていい職を得て、出世して金もうけ。それが


           ゜益゜):;*.’:; しヽ力ヽ~ん


 
というわけなのですが、それではどうしたらいい、とラスキンは言っているのでしょうか。それが男性諸君には「胡麻」、女性諸君には「百合」というわけなのです。

次回はその「胡麻」についてお話しましょう。

ジョン・ラスキンの碑

2011年01月20日 | 英国



冬の湖水地方の続きです。



寒いぜよ~^^; しかしここは英国ロマン派の詩人達の聖地であります。「ダーウェント・ウォーター」というこの湖の名前は、なんどもいろいろな詩のなかに出てくるので、冷え込む空気のなかでも「ここなんだなぁ~…」と感動していたのです。。。





このときは安物のコンパクト・カメラしか持っていなかったので、感動の景色の広がりもこんな風に撮るしかありませんでした~w 画像をクリックしてご覧下さい^^





 寒い湖畔を散歩していると、突然ジョン・ラスキンの碑がありました。19世紀英国の高名な批評家です。ケズウィックゆかりの人物なのです。

THE FIRST THING
WHICH I REMEMBER
AS AN EVENT IN LIFE
WAS BEING TAKEN BY
MY NURSE TO THE BROW
OF FRIARS CRAG ON
DERWENTWATER


私が人生の出来事として
一番最初に覚えていることは
ダーウェント・ウォーターの
フライアーズ・クラッグという
岩場の崖っぷちに、乳母に
連れてゆかれたことだった。     ~と書かれております(^益^)b



 オクスフォード大学で教鞭をとり、その著作はロシアの文豪トルストイやフランスのプルーストにも高い評価を受け、はてはインドのガンジーにまでも影響を与えたという大人物です。さらに私生活では相続した財産を投げうって慈善事業を行ない、晩年はこの湖水地方に住んで自然保護運動団体であるナショナル・トラストの創設にもかかわりました。立派なひとでした・・・。

次回はこの人の講演を本にした「胡麻と百合」という著作について御紹介しましょう。


ケズウィックへ

2011年01月19日 | 英国

バスは湖水地方北部のケズウィックへ到着


冬の季節は人通りも大変少ないです


短い日中に散歩しておきませんとー(^益^;


翌朝ホテルで目覚めると、窓からこんな景色が見えました。
混んでいる夏より静かな冬のほうがいいかもしれませんね(^益^)b


空気が澄んでいてとても冷たいんですよ


散歩しても人影はなく、いるのは羊ちゃんばかり


こんなところをひとりで歩いていると、内省的な気分になります。
そうですねえ、太陽が明るい南国とはなんと大きな違いでせうか。。。

横に3枚^^; この広大な景色、写真ではお伝えするのがむずかしいな~
どうぞクリックしてご覧下さい~。

寒さに凍る湖畔で

2011年01月17日 | 英国







 冬の湖水地方には、ほとんど人がいない。まあ凍りつくような気温のなかで、散歩でもあるまいなぁ。しかしワーズワースの代表作「プレリュード」という詩のなかには、冬の風景が沢山でてくるゾ。そのなかでも凍った湖でスケートを楽しむ場面がある。氷上でクルクルと回っていると、自分が回っているのか、まわりの景色が回っているのかわからなくなるというところを思い出した。しかしいくら寒くても、この湖が全部凍りつくのは想像がつかない。やっぱり地球の気温は上がっているのかしら。

  人っ子一人いない湖畔を歩いていると、耳をつんざく爆音が頭の上を通り過ぎた。なんと超音速機が低空飛行で湖水地方を飛んでいったのだ。びっくりして空を見上げても、跡形もなく消え去っている。いったい夢かまぼろしか、あたりは深い静寂に包まれている。

 何分経ったかわからぬが、またしばらくすると途方もない爆音が通り過ぎた。上を見上げても一面が灰色の空だけだ。まるで大空の神様にからかわれているような気分になる。この近所に(?)どうやら空軍基地があるようだ。しかしなんという音だろうか。頭上1mに下を向いた巨大なスピーカーを置いて、ヴォリュームを最大にされたようだ。それが一瞬なのだ。まわりに何もないので、まるで悪夢である。

 しばらくして、目の前の山の間からその低空飛行の戦闘機が現れた。コンマ何秒だろうか、黒い昆虫のように見えるその機影が目に入ったと思った瞬間に、音もなく頭の上を消え去り、2~3秒経って(この間が妙に気味が悪い)おっそろしい大爆音が脳みそを揺るがせた。

 パイロットは自分が進んでゆくのではなく、まわりの景色が後ろにすっ飛んでゆくような錯覚にとらわれることだろう。自分が飛んでいるのか、景色が吹っ飛んでくるのか。。。 ワーズワースも泣いているぞ
w(゜゜)w

    
    黒いのが湖です。ウィンダミアからバスで北上し、グラスミアからケズウィックまで行きました。



                  こりゃアイスランドと変らない景色だ・・・。



    二階建てバスの一番前に座りました。視界は最高で景色はきれいだしゴキゲン(^益^)v



            視線が高くていいでしょう?スイスイと快適この上ありません。





                        まもなくケズウィック!


真冬の湖水地方

2011年01月15日 | 英国
                      
  車でイングランドを一周した旅行の写真を載せています。ロンドンから西のソールズベリー、すでに以前紹介したお風呂の街バース、そこからウェールズとの境を北上して古本の街ヘイオンワイ、そしてチェスターを過ぎてイングランド北西部の湖水地方へ入ってゆきました。

 ここは文字通りいくつもの美しい湖が点在する、素晴らしい自然の風景が広がる地方で、19世紀には数多くのロマン派詩人が住んでいた土地なのです。有名な湖のひとつ、ウィンダミアには、ワーズワースが住んでいた「鳩の家」と呼ばれる建物も残っています。

 というわけで、初めて英国旅行をしたときには真っ先にその地を訪れたのです。そのときは2月でした。車で回った夏の湖水地方をご紹介する前に、その真冬の姿をまず見て頂きましょう。

 
   
 列車で湖水地方の入り口であるオクセンホルムという駅についたときはすでに夕方でした。冬の英国では4時には暗くなります。そこから超ローカル列車でガタゴトと30分で目的地のウィンダミアにつきます。車内の人かげはまばら。外は真っ暗で、まるでトンネルのなかを進んでいるような侘しさです。

 こんなときは、まるでどこかに連れて行かれるような、おとぎ話の列車に乗っているよう。思いだしてみると、夢の中のような体験です。。。

 
そして終点のウィンダミアで列車を降りて唖然とした。駅前が真っ暗な森!街灯もほとんどないので、どっちに進んでいいものか全くわからないときたもんだ。道も見えないw(゜゜)w 一緒にいた友人は、折り返す列車(いつの発車だ?)に乗ってオクセンホルムまで戻ろうと思ったとか。しかしそこに宿などなさそうだぞ。遭難???

 しかたなく、足で探りながら道を歩き始めた(よくやったなー)。このまま真っ暗な森のなかで迷ったらどうなるんでしょうか。ここは北国、しかも凍りつく空気に手もしびれる真冬なのである。

 しかしあんまり真っ暗だったから最初は途方に暮れたわけであるが、やっぱり一応鉄道の駅。じりじりと数十メートル進んで道を曲がれば、なんとか街はずれの通りに出たのである。宿を探したが、真冬ということもあり多くは閉まっていた。通りを歩いている人も見かけない。それでもポツリと明かりのついていた安宿を見つけ、なんとかその夜のベッドを確保することができたのであった。




このオズボ~ンというB&Bに泊まりました。朝起きて外に出てみると
あらま~、ふつうの街じゃないかね(当たり前なんだが)。
昨夜は真っ暗な中を心の底まで寒くなりながら歩いたので、見える
景色が全然違っていたんですな~^^;









こんな立派な「ウィンダミア・ホテル」なんてーのもありました。新婚旅行にはいいかもしれません。もちろん真冬は絶対ダメです^^; ちなみに夏は清里・軽井沢状態です。一番いいのは6月ですね。ふつー休めないってかっ(^益^;



湖のほとりを散歩しました。人影ぜんぜんなし。手は寒さでしびれる…(゜゜)