さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

英国ロイヤルオペラで「ドン・ジョヴァンニ」を見る 2

2010年12月31日 | 英国

 モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」は、スペインの放蕩者、ドン・ファン伝説が元になっている。そのヴァリエーションは数知れないほど作られているが、モリエールの「ドン・ジュアン」がもっとも広く読まれていると言えるだろう。モーツァルトもそれを使用したらしい。

 この主人公、女を口説くことひと筋の暇人だ。従者レポレッロの手帳によれば、落とした女の数たるやスペイン人は1003人!(ちなみにイタリア人は640人、ドイツ人231、フランス100、トルコは91ときたもんだ
(^益^)オレヨリチョットオオイナ) 念のため、これは従者が数えていたもので、御本人はそんなことを誇るどころか、振り返ることなど全く興味はないでしょう。

 ある晩、ジョヴァンニはアンナという女の部屋に忍び込んでいる。それに気がついた騎士長の父親は、彼に決闘を申し込む。ジョヴァンニはやめろと言ったのに、聞かずに飛びかかった騎士長は殺されてしまう。娘とその婚約者は復讐を誓う
(野蛮ネ)


 逃走したジョヴァンニは、またいい女を見つけて口説こうとするが、それは以前モノにして捨ててきたエルヴィーラだった
w(゜゜)wマズイゾ 
当然また逃げる。エルヴィーラはジョヴァンニが放蕩者だとわかっても、それでも彼を思い続ける。この女、困ったことにジョヴァンニを追いかけて、次の獲物をモノにするのを邪魔するわけだ。

 その後ジョヴァンニは次々に女を口説き、皆を招待して宴会を開く。誰にしようか、いい女とあれば見境なくモノにしようという魂胆だ。そんなジョヴァンニに、通りかかったところに立っていた、殺された騎士長の石像が突然彼に話しかける。

                  
                   調子に乗っているのも今のうちだぞぉ~!


 神をも恐れぬジョヴァンニは、その石像を笑い飛ばして晩餐に招待してしまう。 

来ラレルモンナラ来テミイヤ L(゜益゜L)!
 
 晩餐の場で、エルヴィーラはジョヴァンニに改心を勧めるが、彼は全く聞く気はない。そこで招待された騎士長の石像がほんとうに現れ、彼を地獄に落としてしまう。「悪事をなすもののなれの果て」ときたもんだ。

 
さてこんなプレイボーイの行く末を描いた作品なのだが、主人公ドン・ジョヴァンニの地獄落ちに異議あーりませんか?!この放蕩者は、善人とは言いませんが、そんなに悪人か?

 ジョヴァンニがやめろと言っているのに、明らかに殺意を持って切りかかったのは、騎士長だ。婚約者のいる愛娘が誘惑された父親の気持ちはわかるよ。でもね、強姦未遂じゃあないんだぜ。口説こうとしているだけの男をつかまえて殺人未遂は、明らかにそちらさんが有罪でしょうが。

 そう、口説かれた女たちは、襲われてはいない。紳士的に(?)口説かれて、その気になっているのです。しかも女たちは、相手が放蕩者と知っていようが(エルヴィーラ)、自分に婚約者がいようが(村の娘)、ジョヴァンニを恋人に、そして亭主にしたいと望んでいる。どっちが悪いんや。合意の上なら、最低限同罪でそー。節操のないジョヴァンニをたしなめる従者レポレッロだって、金貨を見せられて主人の手伝いをしているんだ。こいつは最後に「ゴメンナサイ」で勘弁されているが、金のための確信犯だぞ。

 ジョヴァンニは欲望に任せて女に言い寄っているだけで、その他の罪を犯していない。自分に復讐をしようと追いかけてきた人間とも知らずに、窮地に陥っていたアンナとその婚約者を、騎士道精神によって救っているほど、彼は真っ直ぐな人間なのである。

 
どうやらこのお話、日本の「忠臣蔵」に似ているところがあるようだ。挑発されて、こともあろうにお城で刃傷事件を起こした犯罪者浅野の復讐をするために、長い準備期間を経て集団テロ行為を行なう赤穂浪士が美化されるのと同じ構図ではないか。

 つまり感情的動機から発する犯罪的復讐が正当化されるというわけだ。ドン・ファン伝説で救われないのが、それが人間社会の不合理な懲罰のみならず、超法規的な「神」によって断罪されることである。

 モテる男は、よってたかっていじめられるのであるなあ。モテる女もバッシング(やっかみ)を受けるものだからねヽ(^^)ノ

英国ロイヤルオペラで「ドン・ジョヴァンニ」を見る 1

2010年12月30日 | 英国


 ロンドンのコヴェント・ガーデンにあるロイヤル・オペラハウスで、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を見たのである。

 ここはすんごいゴージャスな建物ですぞ。王侯貴族が馬車で乗りつける雰囲気が漂っている。正面の階段を上がると、上にはシャンデリア、下には真っ赤な絨毯が広がっているのがまぶしい。入り口では両肩にタワシを載せたような(わかる?)、おもちゃの兵隊みたいな制服を着た係員が寄ってくる。すかすキップを見せると、途端にうやうやしい態度がぞんざいになり、裏へ回れ、と冷たく外へ指をさされた…。

  座席は「平民」が座る3階席だったのだ。入り口が違う。裏へ回る。どこだ。薄暗いぢゃないか。まさか、これかよ。裏口は、ほんとにドアひとつだ。信じがたい粗末さ。

 なかに入ると、非常階段みたいだ。つまり外から遮断されていて、ひたすら狭い階段をぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる登り続ける。疲れるぞ…。

 登りつめて、ようやく視界が開けた。暗いところに人がぎっちりだー。あの狭い入口に狭い階段に、これだけの人間が通過してきたのかよw

 大きなホールの天井が頭にぶつかりそう。舞台を見ると、はるか下方~。この作りといい、舞台への距離は、歌舞伎座の天井桟敷そっくりだ。違うのは、歌舞伎座では通(つう)が座る2列にすぎない場所が(しかも一幕見だぞ)、ここでは「平民」が隔離された大きな空間であることだ。

 ここは階級社会の英国なのだ。「王侯貴族」が座る下のホールとは遮断されている。あちらからこちらは見えない。視界に入っちゃいけんのだ。舞台はひとつでも、観客席は2つの異なる世界。


トイレの話をしよう。(レディーはここまでにしておいてもよかですたい)

 オペラの上演は長い。なので幕間の休憩時間にみなトイレに行く。だからその時間はひどい混雑。下階は便器がひとつずつあるのだろう。しかしここは平民の世界だ。男の場合、しきりがなく、横一列でやらされる構造になっているやつがあるのだよ。巨大な流しそうめんの装置が、腰のあたりにあるとでも想像してくれたまへ(オエッ)。

 わたしは運悪く、下流の位置にいあわせてしまった。ぎっしりと並んだ男達の×××が上流から累積し、いまや恐るべき濁流となって目の前を通過しているのだ。

 モーツァルトの美しい旋律もふっ飛ぶってもんだぜ
w(゜゜)w

シェイクスピアの故郷ストラトフォード

2010年12月29日 | 英国


ここはストラトフォード・アポン・エイヴォン、シェイクスピアの故郷です。奥に見えているのが、この街の看板でもありますロイヤル・シェイクスピア劇場です。飛び込みで行ったから、残念ながらチケットは完売になっていました。(´;д;`)ノ


シェイクスピアの生家です。若い頃ロンドンに出て、あれだけすばらしい作品を次々に作って売れっ子のシナリオライターになったというのに、パタッとやめて田舎へ帰り、ゆったりと余生を過ごしたそうです。そんな人生、いいな~(^益^)b



この街にはローカル線に乗って行きました。この電車、ドアが座席ごとにありました。だからドアを開けると、向かい合わせに4人掛けで座っている人たちの膝の間を「ちと失礼」と乗車するのです^^


エイヴォン河はとてもゆるやかな流れで、まわりの公園はとってものんびりムード。


河のほとりの公園では、シェイクスピアの像がありました。まわりに有名な劇の登場人物が並んでいました。わたしが記念撮影に選んだのはフォルスタッフ^^ 「戦場には最後に、宴会には一番乗りだ」という姿勢が大好きだからですぅ。しかし奴の体型は係長にそっくりだな…w


エイヴォン河のほとりにある、シェイクスピアの眠るホーリー・トリニティ教会の尖塔が見えますね。



ストラトフォードは、シェイクスピア一色の街でした。お土産にシェイクスピアの顔が描かれた消しゴムを買い、それを子供にあげたら「このおじさんの顔、きもちわるい」と言われました。どれだけ偉大なる人物か、わかるわけないですよね(^益^;

チェスターでの散歩

2010年12月28日 | 英国


チェスターは、夏には観光客の姿が沢山見られる街です。車が少なく、こういったほのぼの空気が好きですねェ。

せっかくのしゃれた時計台なのに、後ろの建物が修復中。まあヨーロッパ中どこでもそうですが、古い街並みはしょっちゅう修復工事です。。。



運河沿いの散歩も実にのんびりムード。遊覧船や、手漕ぎのボートに乗ることもできますよ^^





公園にはリスの姿も見られました。もっと近くで写真を撮りたかったんだけど、さすがにすばやいw ちなみにこのカメラには、望遠レンズなどといったしゃれた機能はついておりませんでした。。。

英国の土産店には、いろんな動物の焼き物があります。「リスによく似ている」と言われる知り合いの美容師さんが独立して店を構えるにあたり、このときの旅でリスの焼き物をお祝いに探していたのですが、なかなか見つかりませんでした。ふくろうやうさぎなどは沢山あるのですが、どうにもリスは見つからず、店員に尋ねてみたのです。

もしかして、英国人はリスがかわいいと思っていないのかしら?

いえいえ、かわいいと思いますよ。

そう。ねずみはダメだよね?

嫌ですね。ねずみはダメ。リスはかわいいわ。

リスの焼き物がほしいのですが、ありませんか。

~というわけで探してくれて、ついにありました~ (^益^)b モチロンカッタヨ


チェスターの繁華街

2010年12月25日 | 英国






 ご覧の通り、夏にもなると、チェスターの通りはとても賑やかです。感じがいいのは、車がほとんど入ってこないところですね。日本も古い街は、このように車を規制するといいのですが。

 このチューダー様式の建物が並んでいるところは、それぞれの2階がぶち抜きになっていて、いろいろな店が並んだショッピングモールになっている。ここをぶらついていると、とある宝石店のウィンドウに飾られているブローチが目についた。それはアメジスト、別名「紫水晶」で、「貴婦人の色」と呼ばれる石だ。

 宝石のなかでも、ダイヤは日常生活に属さない、あまりにまばゆい王宮貴族の世界だ。ルビーの赤は華やか過ぎる。その薔薇を連想させる美しさは、いわば魅惑的な香水がもたらすもので、少し社交性が強すぎるかもしれない。アメジストの紫は、その点ずっと控えめだ。しかしその深みは、落ちついた菫(すみれ)の気品を持っている。装飾性の少なさゆえに気を使って飾る必要もなく、いつまでもやさしい慰安をもたらしてくれる、柔らかな芳香のような存在。私が魅かれるタイプの女性にとてもよく似合うのです。。。