朝の10時まで旅館で少々仕事をする。コロナのおかげでオンラインで出来ることは
すませてしまうようになったので、こうやって旅に出ることもできるってもんです。
デスクワークはどこでもPCさえあればやれるし、会議だってその時間にオンラインで
参加できれば問題ない。これまでわざわざ職場に集まって顔を合わせる無駄なことを
していたことに「早くこうしてろよ」と腹が立つくらいだ。
さて昼間にずっと部屋に居るのも掃除が入るだろうし、連泊するのでいても問題ないの
だろうが、とりあえずチェックアウトタイムの10時には外に出た。外は寒い!
昨夜は遅くにアドニスから帰ってくるとき、もうあんまり寒くて行き倒れになりそうな
気もするくらいだった。ありゃ心臓に悪いよ。そういえば真冬の網走や松本でもそうなった
なあー。いつか旅先の夜に道路で心臓発作でも起こすかもしれんぞw
まずは伊那市創造館にやってきた。裸の像が立ってます。この寒いのに全裸!
抱きついて暖めてあげたひ♪ しかしきっと凍りついたように冷たいだろうwww
銅像って、よくこんな女性の裸だったりしますが、この世でもっとも柔らかく暖かい
ものなのに、カッチンコッチンで冷たいなんて!そりゃ美しいままで型崩れしない
だろうけれど。。。
まあ触るにしても手の届かない高さにあるのであきらめて創造館に入る。
アレ触ってたらやっぱまずいのか?
企画展示は面白くもないものだったが、常設の井上井月の展示室に。ここに来たら
これを見なければ。しかし内部は撮影禁止。奥に屏風のようなものが立っている
でしょう?あれがすごいんです。
井月は晩年、伊那に住み着いて死ぬまで物乞いの生活を送りました。乞食とはいえ、
教養があって素晴らしい俳句をしたため、書の達人でもあったので、心ある人たちに
迎えられ、食事を出してもらったり泊めてもらったりしたのです。酒が好きで、酔っ払って
機嫌が良くなると「千両、千両!」と言ったそうです。
さて井月は芭蕉を心の師と尊敬しており、彼の「幻住庵記」を暗記していて、ある
店先で、酔っ払ってその1300字余りをさらさらと全部達筆で書き上げました。それが
ここに展示されているのです。(レプリカかもしれませんが)
ノーミス! すごい達筆! 墨と筆で、全文を一気にですよ!!!
是非、伊那に来たらこれを見て下さい。芥川龍之介はそれを見て、「入神」と言いました。
いま流行りの言葉、「神、降臨!」ですよ。
日本中を旅して俳句を書いた松尾芭蕉を尊敬する漂泊の詩人(まあホームレスなんですが)
井上井月、これまたホームレスで酔っ払いで日本中を放浪した山頭火が井月のことを好き
だったのです。つながりますねえ。詩才はないですが、私も少々つながっております♪
さて井月さんにご挨拶をしたあとは、図書館に行って新聞に目を通し、少し本でも読んで
午後の映画まで時間をつぶそう。外は寒いしなあ。高遠まで行って蕎麦を食おうとも
考えたが、例の「入野谷在来」を食べるには2日前に予約が必要なので、今回はやめて
おきました。
図書館は線路の向こう。1時間に1本もない電車が通る。ちなみに昨夜酒場に行くときも
遮断器が降りた。今回の旅では、線路を通るたびに電車が通る。すごい確率だw
こんなことってあるんでしょうか。。。
何やら工事だそうです。このクッソ寒い外で、どうしたらええんでせうか。
見ようと思っている映画は午後1時。まだ10時半。
_| ̄|〇
「途方に暮れる」という言葉がピッタリ。
ま、俺にはホームレス生活は無理だな。井月や山頭火にはなれそうもないwww
「きりん」の灯がともっているー。何せ緊急事態宣言だの自粛だので酒場はピンチ
だったからなあー。しかもジイちゃんだし! 「これを機会に・・・」と閉店を決意する
全国のスナックのバーさんたちが大量に出ていると聞いていたから、ここに来るまで、
灯をこの目で見るまでは心配だったんだよ!
焼き鳥がありました。だって看板に書いてあるんだからなあ。しかし同じく書いてある
「ローメン」は出さなくなって久しい。この地方名物の「山賊焼き」も出なくなった。
前回は「焼き鳥の準備するのも大変だから」とワンオペの忙しさを語っていたが、
この店ではその日あるもので楽しませて頂きましょう。
酒が「夜明け前」になっていました。ここの地酒「井の頭」が定番でしたが、そいつは
昭和なきついオヤジ酒。それもまた最近はなかなかない味わいだったのだが、さすがに
こっちのほうが口当たりがずっといい^^;
この日はいつもの常連さんたちがあまりいませんでした。外はすごく寒い。マスターは
「外に人は歩いてない?」というここ何年か定番の質問。むかしの賑やかだった
繁華街はもうすっかり過去のことで、うら寂しい伊那なんだよお~w
バーに行く前に、少し何か食べたい気持ちになる。何せこの日の朝は栗きんとんひと口で、
昼はコンビニおにぎり一個なんだからw というわけで、並びの中華料理屋に入る。
この地方の名物、「ローメン発祥の店」なのである。
他に客はいなかった。手前は向かい合わせの二の字カウンターで、向こうが小上り。
とてもいい感じの町中華。酒も揃っていて、酒場としても使える店。
さすが伊那! 目がテンになって二度見しますwww あれを飲むと精力絶倫になるのか?
アルマジロやトラのナニはおいといて、初めての方なのでローメンを(;´・ω・)
ローメンとは、羊のお肉が入っているんです。自分で味付けするの?
なんだか長崎ちゃんぽんに似ている。麺にコシはあまりない。味付けは薄く、たしかに
酢やソースをかけて食べたほうがよい。羊の臭みはなかった。そう作っているのでしょう。
♪おいし伊那ローメン、というほどではなかったな。。。
うわー、アドニスやってるぞー!!! (´っ・ω・)っ
手前のグラスにピントを合わせるべきだったな。。。
ここに来たら「山崎」です。ご年配のママさんも、いつものおねいさんたちも健在でした。
コロナ禍にあって、今年は半分以上閉めていたそうです。去年から続けて来て見て「残念!」
が続いていましたからね。4時から開ける「きりん」が閉店に近づく頃、「アドニス」は
開店時間。ちょうど開けたところで、ママさんがひとりでお迎えしてくれました。
そして少し飲んでいると、おねいさんたちが入ってきたのです。3人に囲まれて
ハーレム状態(^益^)w
しかし大画面テレビのクイズ番組に3人は興味を持って、途中から問題の答えをスマホで
検索するなど、やたらに盛り上がる。おーい、客がいるのにどうよーwww ま、それだけ
気を許してくれているのでしょう。これがすごいイケメンだったらテレビなんて見ないで
ちやほやするんでしょうけどwww
つい楽しい時間を過ごして、3杯も飲んでしまいましたー。再開してよかったなあー。
ここは岡谷。二日酔いの頭で甲府から伊那に向かっているのだが、乗換駅の岡谷で
途中下車。甲府も伊那も、何度も行っているのでもはや観光に興味はない。すると
朝の10時にホテルを出て、次のホテルのチェックインタイムまでどこかで過ごさなければ
ならないわけだ。
そこで、乗換駅の岡谷に映画館があるので、そこで映画を観れば時間つぶしになると
考えた。岡谷スカラ座はなんとシネコン。見る映画の選択肢がいくつもあるが、今回は
電車到着20分後というぴったりのタイミングで「老後の資金がありません!」が
見られますー。
駅からサッサカ歩けば15分くらい・・・のはずなんだが。。。
しかし住宅街でシネコンなんかありそうにないぞ?
迷っている時間もないので、通りかかったおばさんに道を聞く。すると「わかりにくいん
ですよ。途中まで一緒に行きましょう」とご親切に教えてくれました。
住宅地の路地を行くのだ。見てこの看板。あそこ入ってくの?
これが駅から映画館に行く道ですかー。
とてもシネコンに見えませんが、内部はいくつも上映会場がある立派なシネコンなのだ。
「老後~」はルーム5でした。切符売り場の方は20代の美しいお嬢さんで、これまた
意外性に富んでいるところだ^^; 他に客は数人という贅沢なガラガラ♪
天海祐希さんがとても素敵で熱演です。私が長らくファンである若村麻由美さんは、
少し意地悪な役だったので、いかがなものかと!「ウルトラセブン」のフルハシ隊員
やら「太陽のほえろ!」のゴリさんなんかが老人役で出ていました。こっちも老ける
はずだーw
義父の葬式に数百万円だの、娘の結婚式にまたウン百万、奥さんは派遣切りにあって
旦那さんの会社は倒産。なかなか笑って泣けるコメディーでした。ビンボウでも
天海祐希さんが奥さんなら悪くないか・・・?
空いている映画館でゆったりと観られるのは、本当に贅沢気分です(^益^)b
伊那への電車は1時間に1本もない。岡谷への到着20分後に映画が始まり、映画終了後
30分で電車が出るので、昼飯を食いっぱぐれる。朝は甲府のホテルで梅干しくらいの
大きさの栗きんとんを食べただけだ。しかたなく駅の売店で冷たいコンビニおにぎりを
一個買ってホームでかじる。食べられるだけありがたいことです。しかしコンビニ
おにぎり、塩をまぶしてくれると嬉しいんだけど、そういう需要はないのか?
あ、画像は伊那に向かう途中駅、「沢」です。山の中なのになんで沢なんだ?
伊那についたら、こんな看板が目についた。街おこしを頑張ってるのか?
たしかに夜の繁華街のディープさは日本一ともいえるすごさなので、何度も来ているん
ですが~。
この日は曇り空で、山がきれいに見えません。しかも寒いぜ!そう、冬の山の空気は
冷蔵庫の中にでも入っているような底冷え。都会が温かくなりすぎてるからなあー。
今回は昔ながらの昭和な旅館、「あいや」さんに宿泊。アイヤー!
部屋の窓からは、向こう側の廃ビルがよく見えました。オバケでもいそうだよ。
ビジネスホテルよりも安く、広い和室。こりゃあいい。ウォシュレットはナイ。
いつもは洗ってトントン水をとるだけなのだが、久しぶりに拭くというかぬぐいとる
というかー。そして広い共同浴場があるのだ。他の客と一緒になりたかねーが、幸い
空いているのでひとりで入れた。それなら部屋の小さいユニットバスよりはずっといい。
はしご酒をすると午前様になったりするのだが、玄関を閉めることはないという。
門限がなくてよかったと思ったが、深夜にフロントで鍵を出してもらうの?ここに
来たときも人がいなくて、カウンターに置いてあるベルを押して奥からおばちゃんが
出てきたのだが。出るときゃ鍵を置いていけ、という。
帰ってきたら、他の部屋の鍵と一緒に全部が置いてありました。これって、誰かが
入れちまうじゃん?こういう古い旅館ではありがち。だったら鍵を持って出てもよいと
すればいいのになー。同じように古いホテル青木は「持っていけ」と言ってたぞw
そういうわけで、夜の出動タイムまではしばらくリモートで仕事。コロナ禍で酒場が
閉まったりうんざりしてきたが、リモートでできることはこうやってどこでもできる
ようになったことだけはよかったなー。わざわざ電車乗って集まったりしてさ。。。
ここは八王子駅。私は仕事を終えて、これから「あずさ」に乗って甲府へ向かおうと
しています。夏からバー「ノア」に電話がつながりません。最初は「お客様の都合で
現在利用できません」となっていたのが、「この電話番号は、現在使われておりません」
になってしまった。まさかコロナ禍で閉店したんじゃ?不安が真っ黒い雨雲のように
沸き上がる。甲府に知り合いもいないので、行ってみないことには確認しようがない。
行って閉店していたらどうするんじゃ!?
乗り換えに15分ほど待っていたら、向かいの線路に止まっていた電車に気動車が連結
された。珍しいな。自走出来ないのか。
引っ張られていなくなったと思ったら、しばらくして向こう側の線路に戻ってきました。
移動させたのねー。
というわけで、甲府のホテルにチェックイン。少し出遅れて酒場が連なる例の
「オリンピック通り」にやってきた。バーの前に、まず居酒屋で酒を飲んで何かを
食べないと。いつもの「くさ笛」に行ってみたら、ぎっしり満席!俺がのぞいたあとに
他の客もやってきてのぞいてあきらめていた。すごい人気じゃないかー。
このあいだの太田和彦の「居酒屋百選」で紹介されてたからなあ。こりゃ大迷惑。
というわけで、まだ入ったことのない「居酒屋えいじ」にやってきました。ここは
ジビエ料理を出すのです。どんなだろ?
とても小さい店で、おそらくは「えいじさん」のワンオペ。客は誰もおらず、マスターは
ひとりでくつろいでおりました。あっちは満席、こっちはカラかよw
まず飲んだのは、メニューで目についた「あぶない梅酒」。「何が危ないんでしょう?」と
聞いたら、にごり梅酒に強い焼酎を入れて飲みやすく(?)してあるそうです。お通しには
鹿肉が出てきました。悪くない。
熊やら羊やら猪やらといろいろありました。鹿を食べたので、やさしく鴨にしました。
右はアンチョビをからめたサラダ。どちらも旨かったですぅ~^^
こちら一見さんですから、初対面のおっさん同士が狭い店で向かい合っているので、
しばらくは食べることに集中し、二言三言と世間話をちらほら。しかしマスターは
話し好きらしく、だんだん打ち解けてくると饒舌になり、話題があちこちに飛び始め
すっかり盛り上がってくる。
こうなると酒が進み、次はオサレにシェリー酒、そして話しまくって喉が渇きビールと
話題があちこちに飛ぶのと比例して酒もあれやこれやとだいぶ飲んでしまいました。
この店のお勧めは「共栄堂」のワイン。山梨の小さなワイナリーが造っていて、
とても限られた店にしか出してないので、これを飲むためにここに通う客もいるとか。
ちょっと心惹かれたが、ここまで飲んで、それから一本開けたんじゃ次の「ノア」に
行けなくなっちまう。マスターは「分けて飲んだりする人もいますよ」とも勧めたが、
ずっと俺と二人しかいないんだから、暗に「おごれ」ということじゃねーかー。
ここできれいな女性がひとりでいたりすれば「どうぞ♪」とやるんだが(ありがち)、
こんなディープな薄暗い路地裏に、ふらりと美女がひとりで来るわけもなかろう。。。
心臓をどきどきさせながら「ノア」に近づいたら、灯がともっているじゃないか!
まさか知らない人がいたりはしないよね?と一抹の不安を覚えながらドアを開けると、
ああ、なつかしのダンディーなマスターがいるじゃなーいーかっw
ううう、涙が出そうだった。。。 まずは再会を祝して、マスターがいつも飲んでいる
角の水割りを頂く。
電話が通じなかったのは、経費節減のために解約したそうです。いまはほぼ携帯電話を
使っていますからね。そうであったらと思っていたので、本当によかったです。
マスターに「心配したんだよ」と文句を言いました。ずっと続けるそうで、ひと安心。
こうなりゃ祝い酒モードに突入。他に客もいないし、一緒に飲みまくる。
あとはすっかり何が何だかわからなくなりました。。。
久しぶりのマスターとの再会、そして久しぶりに飲み過ぎて記憶が飛んでいます。
何を話したんだか、おそらくはへべれけの酔っ払いとなっていたのでしょう。。。
手造り味噌の、「味噌星六」です。「美味しんぼ」でも紹介されたんだって。
味噌はお土産にすると重いからなあ。。。酒は重くても買うんだけど^^;
最後に吉乃川の店に寄る。何か買っていくかー?
私は酒蔵に行ったら、だいたいそこでしか買えない高いやつを迷わず買います。
「みなも中汲み大吟醸原酒」に惹かれるなー。にゃんと7700円!吉乃川というと
スーパーでも売ってたりするが、こういうレアものもあるのか。。。
40秒ほど迷った末、どこでも買える小瓶だけにしました^^; だって最初に
東光と磐城壽でたくさん買ったんだもんwww
駅前にある評判のラーメン店「青島」に行ったら、なんと行列!次の電車は30分後。
それを逃すと1時間30分後!30分で食べ終わるのはどうやら無理。その頃に出てくる
だろう。何もない駅前でずっと電車を待つのはつらい。1駅の距離なんだが、歩くのは
無理。というわけで、近くの「カレー研究所」にやってきました。ショウガカレー?
ウム、ほんのりショウガの香り。悪くなかったぞ。
さてさて駅の酒ショップで最後のチェック。久保田の「継ーTSUGU-純米大吟醸」が
あるではないか。現物を見るのは初めて。なんと4合瓶で44000円!消費税だけで
4000円。税金の金額だけでも迷うような値段じゃねーか。私の友人は、一升瓶でも
3000円を超えたら買わないと言っていました。こういうのを飲む人は、きっと
不労所得で貯金残高が増えていくような人なんじゃねーか?誰かお歳暮にくれないかなー。
そりゃありえんなーw だってお歳暮もらった記憶なんてねーもんなー。
というわけで、一週間の山形一周の旅は終りました。最後は新潟に入ってたんだけど。
海派か山派かと聞かれれば、私は山派ですね。久しぶりに都会を離れて山を見られました。
ようやくコロナの感染者数もおさまり、今回の旅ができましたけれど、また感染者が
増えれば不自由な状況に戻るかもしれません。なにせ俺は旅と酒場が大好き。
その二つが制限されてしまっては、人生の楽しみが激減です。(´・ω・`)
家に帰ったら、酒が届いていました♪ 磐城壽の「一生幸福」は、ちょうど友人の
ところに赤ちゃんが産まれたので、祝い酒として持っていきました。赤ちゃんとは
あまり関係なく、二人で飲みました。あんまり旨くて、最後はへべれけで記憶が
なくなりました。酒飲みって、恥ずかしくてヤですね。。。
東光のレアもの3本!こっこれは旨い!爽やかであると同時に深い味わいとコク。
「日本酒はちょっとね」という女性でも、きっと目が覚めるような気持になる
でしょう。3本それぞれに個性がありますが、私は真ん中の「壱年熟成」が
一番良かった。また飲みたいが、米沢の蔵まで行かないと買えないんだよw