原発のある泊へ向かいます。小樽から岩内へ来る途中、運転しているこちら在住の
人が、「こんな道知らない!つい最近できたんだ」というので、泊へ抜けるその道を
通ってみました。カーナビにも、Googleマップにもまだありません。開通したばかりで、
地図では山の中。なので長いトンネルを通過していくのです。
いくつかのトンネルを抜けて行きました。長いのは1,5㎞もあります。何せ山の中を
ショートカット。在来の道路よりは数分くらい早く泊原発に抜けられるでしょう。
トンネルを抜けると白樺の森を進みます。何せ超過疎地だから行き交う車もありません。
実に爽やかなドライブコース。しかし何のためにこんなすごいトンネルを掘ったんだ?
原発はずっと稼働していなくて、耐用年数を過ぎてしまっても延長して使おうかと
無理筋の議論をしているところです。福島の事故があったあと、もっと高い防潮堤を
造らなくてはいけないとなり、それには1800億円かかるけれど、コストに見合うのか?
という議論をしているそうです。
しかしこの道路。。。仮に泊原発が稼働したところで、ひっきりなしに車両がたくさん
通過する必要があるのか?いままでの道路より数分速くアクセスできることがそんなに
大事なのか? あ、避難経路を準備しているのか?「絶対安全」ってあれだけ言ってた
けれど?
よくわからん。何のためにこんなすごいトンネルを掘ったのか。ひとつはっきりして
いることは、防潮堤を造ったりこんな道路を開通させたりすれば、確実にゼネコンには
莫大な収入があり、すなわち自民党にはそれなりの献金が入り、そういう一部の連中が
すんごく潤うということでしょう。どこから出た金なんだよw
スーッと車が進むともう山の向こう側。黄砂で霞んでいます。
まもなく日本海が見えてきます。
いつもはこういう道を長い時間歩いて行きますが、車だと早い早い。
険しい山の中を、どんだけ重機が切り開いてこんなの造ったんだろうねえ。
最後に山を下りたら海が見えた。
というわけで、原子力PRセンターとまりん館に到着。公共交通機関では不便すぎて
とても来られないところです。
当然見物客は全然いない。
しかしなんだ、原発関係のこういう施設にはいくつも行ったが、映像があったり
展示物があったり、しつこいほどに「原発は安全だ」「理にかなったエネルギー」って
説明をしているものだが、ここはあまりやる気がないの?悲しいくらいに見るべきものが
なく、ほとんどさらりと歩いて通過しておしまいでした。
東海村や福島の廃炉資料館なんかは、事故があっただけにずっと見応えあったぞ。
いま、こちらの寿都町と神恵内村では核ゴミ最終処分場建設計画が進められています。
どうせなら「放射能ゴミの影響が消える10万年は絶対安全です!」とか、「その建設で
落ちるお金の流れをわかりやすくグラフで解説」とかのコーナーを作ればいいのに。
乗用車の助手席に乗っています。私の旅では非常にレアな状況です。こちら在住の
人が休みのときに、「車でないと行けないようなところに連れて行ってあげますよ」と
言ってくれたのですぅ~♪
目的地は岩内と泊。積丹半島は長らく秘境だったところです。港の集落ですから
鰊御殿があるのです。さらに僻地中の僻地、泊には原発がありますからね。。。
小樽から泊に行こうと思うと、函館本線とローカルバスを乗り継いで、朝に出ても
到着は午後!日帰りはほとんど不可能ではないか。しかし車で真っすぐに行けば
90分ほどで着いてしまうのです。
うわー、桜並木!この何日かで咲き始めました。ひと月前にはテレビで桜の名所が
いろいろレポートされていましたけれど、どこもすごい人。しかしここには人が
全然いません。不便すぎるから穴場としても知られていない。こんな素晴らしい
景色をなんと贅沢な。
山の雪は、7~8月まで消えないそうです。
岩内の帰厚院というお寺にやってきました。大正7年の建築で、中には木造の大仏が
あります。お寺の内部はすごーく広かったです。
桜が満開に近い。
そういえば函館五稜郭の桜が満開だというニュースを見ました。雪で真っ白の時期に
いましたけれど、今は見事に全面の桜。それが散ると全面が新緑の緑になるんですよね。
白→ピンク→緑を見てからこっちに来てもいいのか?しかしその時期、スギ花粉も
北上してくるからなあ。。。
岩内は身欠き鰊の生産量が日本一だったこともあったとか。しかし鰊御殿や郷土
資料館もなく、街中で特に観光する施設もないようです。道の駅はあるようですが。
というわけで、次の目的地、泊に向かいます。2~3時間に1本のバスを乗り継ぐ
必要もなく、マイカーだと時間のロスがなく移動できるな。
*スナックのママさんが「持って行って部屋で食べろ」とくれた筋子、タラコ、鮭、
そしてご飯の上に乗っているのが今が旬の行者にんにく。うーまーいー♪
3カ月に及ぶ北海道滞在にいろいろ本を持ってきましたが、その中の1冊がPhilip Gilbert HamertonのThe Intellectual Life (1873)です。大学生のときに買って拾い読みしましたが、今までほうっておいたので、この度改めて通読してみようかと思ったわけです。『知的生活』なんて、隠遁生活にはぴったりではないですか。
もう最初のほうで感動する一節がありました。
疑いなく、もっとも大事な徳というものは ”disinterestedness” だと私には思われるのです。
*これを辞書で引くと「無関心」「公平無私」「無欲」なんてのが出てきますが、ちと違う。「偏見、または、自分勝手な動機から解放されていること」というのがだいぶ近い。「禅味」というのがあったが、説明が足りないようで一番近い気がします。
このはっきりした答えのあとで、どうしてこの考えに至ったのかを言わせてもらいましょう。その他の重要な徳をひとつひとつ取り上げてみることから始めたのです ― 勤勉、根気、勇気、規律、謙遜、その他もろもろ、、、そして自問したのだ。どんなところにも、こういった徳をすでに持っていて、さらにそれらを培っているのに、それでも知的な自由に反する人がいるのだなあと。・・・そこに抜けているのは ”disinterestedness” だったです。
たしかに決して傲慢にならずに、ひたむきにしっかり頑張れる人だって、間違った方向に突っ走ってしまうことがある。「自分のために」「家族のために」「会社のために」「お国のために」では目が曇るのである。男の政治家には「男女平等」は進めにくいだろう。若いうちは天引きされる社会保障費を少なくしてほしいだろうし、年をとれば年金を増やせと思う。そういう「利」から自由であること、それは大事なんだろうけれど難しい。
ハマトンから100年経って、ジョン・ロールズという哲学者が「無知のヴェイル」ということを言っています。さて私は中年男で五体満足で酒と煙草が好きで豊かな日本のなかでも富裕層には属さない人間です。だから「女は慎ましいほうがよくて、健康だから社会保障費は少なくて、酒・煙草の税金は少なくて、金持ちからは税金をたくさん取って、いずれもらう年金は多いほどいい!」なんて思ってしまいそう。これが違う星の元に生まれていたら、「社会的弱者には手厚い補助を出してもらって、酒や煙草の税金は10倍でいい、年金なんてのは自助努力にして給料から天引きならん、女は控えめなんて価値観はふざけんじゃねーよ!」とか言うかもしれません。だから自分は男なんだか女なんだか、白人なんだか黒人なんだか、五体満足・不満足、日本人なんだかパレスチナ人なんだかわからない、「無知のヴェイル」を被った無自覚の人間、いわばどんなところにどんなふうに生まれるかわからない生前の状態になってみて、それでルールを考えてみようではないか。そこで初めてフェアなルールが考えられるってもんだぜ、という提案なのです。
これこそハマトンの言う ”disinterestedness” ではないですか。これは恵まれた環境にあるならば「譲れ」とか「思いやり」とかいう道徳的なものではありません。目を曇らせるヴェイルを取り払い、いわばクリアな「精神の自由」を獲得するようなものではないですか。
北海道ワインにやってきました。山の上にはまだ雪が残っています。ここは公共
交通機関がないので、酒場でなじみになった地元の人に車で連れて行ってもらった
のです♪
山の上にあるので景色がいいはずなのですが、この日はあいにくの小雨。。。
なかなか立派な施設だぞ。
お~、ワイナリー限定品など、なかなかのラインナップ。
試飲♪ コイン6枚で500円。テイスティングですから、こんなにちょっと(^益^;
飲みに行ったのではなく、品選びのためですからね^^;
メインはこっち。お値段も高くなりますが、いいやつを少し多く飲めるのですぅ~。
左は「トラディショナルメソッド北海道Rose」というスパークリング。右は
「余市ハーベストケルナースペシャルキュヴェ2018」。どちらも美味しかったですよ。
ただ期待していた「北前」の「木樽熟成」(一番高くて美味いやつ)がなかった。
それは生産本数も少なく、小樽でも限られた店でしか売ってない。こんどそこで
買うかーw
夜はなじみの「かすべ」に。すごい昭和な雰囲気でしょ?裕次郎のCDがずっと
流れているんです。奥にゆかりの品を並べた「裕次郎の部屋」まであるんですよ^^;
ディープな花園エリアの一番奥にある店で、入ると「おお。。。」となります^^
私が大好きなソイですが、いままでにないほどに大きいのが入荷しました。注文時には
「ソイですか♪」と聞かれるようになりました。
「つぶ」も入ったというので、そのコンビネーション。酒は亀甲蔵。至福♪
今回の滞在でまだ行っていなかったVanillaに。俺の小樽出没情報が伝わって、
「まだ来てないな」となるから行ったほうがいいよ、という助言もあり^^;
ちなみに「かすべ」のあとにスナック「杉」に行き、そこで飲んでいたら「店を
閉めてみんなであこやん(近所の居酒屋)に行くよー!」となり、移動したら
そこにさっき飲んだ「かすべ」のママさんが閉店後に来ていて再会w となったり、
Vanillaで飲んだ翌日に「屋台村ろまん横丁」に行ったら、なんとママさんが来ていて
隣から「あら、さきち・さん♪」と鉢合わせになったり。
小樽は函館よりも狭い世界かもしれませんー。