先日、図書館(写真は小さな裏庭のベンチで仰向けになり見上げた空と流れる雲)で同じテーブルの前に座った幼い女の子が、絵本を読んで貰っている母親に可愛い声で話しかけました。
「ねえお母さん、この頃すぐお腹が空くね」
「そうだね、クマさんも冬眠するまでにたくさん食べるでしょ」
「トウミンって?」母親は少し考えてから、
「冬になると雪が降って真っ白で何も見えないし、食べ物も無くなっちゃうので暖かくなる春までお眠りするの」
「ふーん」
「だから今はその分いっぱい食べて太っちゃうの」
大人は「食欲の秋」とか言い習わして、この時節に食欲が増進するのを常識や当たり前のこととしているのですが、小さな子供の感性はこの季節になってお腹が空くとその不思議さを素直に感じ取り、冬の寒さと成長のためのエネルギーを本能的に蓄えようとしているのだと想像しました。一方そんな季節に自然に反してダイエットをしようとするような現代人が、何か生きるセンサーを狂わせてしまった堕落した生物に想えた会話盗み聞きのひと時でした。