続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『無謀な睡眠者』

2011-05-09 06:38:50 | 美術ノート
 マグリットの『無謀な睡眠者』
 この作品を前にすると奇妙な浮遊感に襲われる。
 言うまでもなく宙に浮いているであろうベット、どう見ても箱にすぎない空間の中で横たわる睡眠者。安定はしているけど、揺り動かされれば落下を余儀なくされるような見せかけの安定。
 木材で加工され、人がちょうど収まるような箱は、通常「棺」と呼ばれている類である。死者の世界に運ばれる可能性を含んだ箱に眠る男。

 暗雲垂れ込めた宙は闇夜であり不穏である。
 そこに描かれたボードは、何か具体性(メッセージ性)を放棄、拒否しているような形であり、無機的な質感と配色(グレー)である。
 この条件の中に描かれた(収められた)6個の象徴たるべきものの意味は何か。

 鏡・・・虚を映すもの。
 鳥・・・自由を象徴するもの。
 帽子・・・礼節だろうか。
 リボン・・・女。
 林檎・・・知恵の実。
 ロウソク・・・生命。

 これらの持つ意味を考えると、地上(重力下)に生きる人の必携、社会人としての必要十分条件である。これらから離脱、これ等を放棄して冥府の入口で眠る男の無謀・・・孤独。(ただ、この木目模様は亡母への記号化された暗号でもある)
 ある意味、黙秘された母恋の胎内回帰とも言えるかもしれない。

 マグリットの深層心理そのものの景色の危うさ、いわば告白を観る思いがする。

『城』476。

2011-05-09 06:01:43 | カフカ覚書
 Kは、問いかけるようにフリーダをじっと見つめた。相手は、首を横にふって、それ以上語ろうとはしなかった。

 問いかける/fragend→freigebe/解放する。
 振る/schuttelte→schatten/影。
 kopf・・・中心人物。
 それ以上/weiter→weise/方法。
 離す/reden→leiden/悩む、苦しむ。

☆Kは解放するかのように彼女(フリーダ=平和)を見た。
 相手は中心人物の影であり、方法を悩むことはなかった。