続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『オルメイヤーの阿房官』

2017-01-28 06:57:10 | 美術ノート

 『オルメイヤーの阿房官』

 根の張った樹が破損した城郭に変容している物体を、単色・ベタの背景に収めている。
 きわめて不可解である。

 時空に指定はないが、不明なほど遠い未来からの不審物としての象徴である。
 端的な物言いではないのに、曖昧模糊とした混沌を孕ませ単純化している。

 土中にあってこその根が、空中に標本のように提示されている無意味、築かれた城郭はひび割れの破損と共に空洞化している。樹(有機質)が城郭(無機質)と合体、あるいは変容している不条理は、栄枯盛衰の末路の暗示だろうか。

 どこまでも伸びる根の活力(エネルギー)は、実を結ばず廃墟と化している。時間の経由、歴史の残酷、虚空の沈黙、《空しい幻想》があるばかり・・・。
 取り残された孤独だろうか、背景のオレンジは洛陽の輝き、一抹の寂しさをも暗示する。

『オルメイヤーの阿房官』は空中に浮遊する《不条理/結末の不一致》の象徴である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『注文の多い料理店』23。

2017-01-28 06:30:41 | 宮沢賢治

「どうも変な家だ。どうしてこんなにたくさんの戸があるのだらう。」
「これはロシア式だ。寒いとこや山の中はみんなかうさ。」


☆遍(もれなくいきわたる)化(形、性質を変えて別のものになる)の図りごとを、識(見分ける能力)の感(物事に対したときに受ける思い)で算(見当をつけ)注(文章の意味を書き記す)。


『城』2540。

2017-01-28 06:22:58 | カフカ覚書

また、なんとかよい解決法を考えだそうとたがいに鎬を削り合ったのも、自然なことであり、やむをえないことでもあったのです。だけど、それは、よいことではありませんでした。だって、そのために、わたしたちがのがれたいとおもっていたものおなかへ、ますます深くのめりこんでいく結果になったからです。


☆わたしたちは絶えず、良くも悪くもないということで満足し、事件を解消することを考えていました。わたしたちは当然のこととして不可避を良しとしたのではなく、わたしたちは免れることを望んだのですが、それによって引き続き深みにはまってしまったのです。